こたつむり

のぼうの城のこたつむりのレビュー・感想・評価

のぼうの城(2012年製作の映画)
2.0
♪ 誰か僕に嘘をついてよ
  全然平気さ 僕は今日から でくのぼう

何だか色々と中途半端な感じでした。
シリアスなのか?コメディなのか?
大仰な演技や台詞が続き、コミカルな感じは伝わってくるのですが、戦場では血飛沫が舞うのです。なので、正解が見当たらずモヤモヤするばかり。

特に主人公の造形がてんでダメ。
人徳者にしたいのか、それとも切れ者としたいのか…それすら分かりません。クライマックスの“一世一代の大博打”も意味不明。開いた口が塞がりませんでした。

それに物語的にも微妙な部分が多いです。
登場人物の選択や行動理由に共感できないのは仕方ない(戦国の世と価値観が違うと考えれば無理やりに納得できる…つもり)としてもこの着地点で笑顔にはなれないですよ。

どう考えても。
愚かな選択と愚かな策を弄したばかりに最悪の結末を招いたとしか思えないんです。史実があるから逆算で物語を書いたんでしょうが、それにしても…ねえ。

あと、演出も首を捻るところばかり。
例えば、人物紹介のテロップ。豊臣方の石田三成は表示されるのに、主人公側の家臣たちには出てきません。どうせ紹介するなら全員紹介すれば良いと思うんですけど。とても杜撰な作りです。

まあ、そんなわけで。
劇場公開時に賛否両論だったので期待値低めで臨みましたが、それでもダメだった作品。楽しめない僕がダメなんでしょうけど。正直なところ、これで楽しめると(製作者側に)思われるのも釈然としません。

「字が下手でも良いから丁寧に書け」
と若かりし頃に言われたことがありますが、それって何事にも通じる話だと思うんです。予算がなくても良い。脚本が斬新じゃなくても良い。でも、ひたすらに丁寧に仕上げてほしい…そう考えるのは贅沢な話なんでしょうか。

一応、日本アカデミー賞受賞作品なんですよね。
でも、知名度とか予算とか、大人のしがらみとかで決めているんだろうな…なんて考えちゃうのは…僕の心が汚れているからでしょうか。
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