グラビティボルト

トールマンのグラビティボルトのレビュー・感想・評価

トールマン(2012年製作の映画)
4.5
秀逸。ギリギリまでネタを話さずに10分後の展開を読ませないサスペンスの至高がギッチリ詰まった傑作でしょう!
子供が消えてしまう事件が頻発する田舎街でのサスペンスだがひたすら巧い。
冒頭10分で田舎街の閉塞をきっちり魅せてから始まるが、「冷蔵庫を開ける」という日常的動作から非日常そのものが照らされて、アクションが連続していく誘拐犯追跡シーンは特に見物!トラックに掴まる、一時停止、隠れる、犬に襲われる、車内侵入からの格闘からのクラッシュ!まであらゆるアイデアがスムーズに展開される上にこれだけテンコ盛りでまだ前半!
ここから街の人間全員が不穏な「村モノ」としてのサスペンスを展開し、廃墟ホラーを丹念に魅せて周到などんでん返しへと展開していく。
ホラー&サスペンスには間違いないが、あらゆる恐怖や謎の起源が社会のある
「循環」に根差しているので社会派映画のような味わいすらも残る。
随所で頻発する主観視点の長回しも独特でよくある場面にも新鮮な味わいを残す上に凄く自然だから長回しであるという事実に気づかないかもしれない。
「万引き家族」の後にでも観ると尚良しに違いない‼