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映画 鈴木先生のmaのレビュー・感想・評価

映画 鈴木先生(2012年製作の映画)
4.2
「わたしには わたしの身体に 自分自身のため以上の責任がある」


真面目だけれど、とびきり可愛い女子生徒との妄想をせずにはいられない、むっつりスケベな鈴木先生。
こりゃあくだらない変態モノかと思ったのも束の間、生徒会選挙を軸に「良い子を量産する教育のあり方」を正面から殴っていく、よくできたお話であることが分かってくる。

社会は不条理であふれている。
それに従う訓練をさせたいわけではない、でもやさしくやさしく囲うように育ててポイと放り出すのも絶対に違う。
教師という立場におられる方は、生徒のこれからにとって非常に大きな存在。
絶対的な力を持っているからこそ、教育ってほんとうに難しいのだと思う。
鈴木先生みたいに、苦悩し、言葉をかけ続け、たまにかっこ悪いところも見せる人間らしい人。そんな先生が慕われるのかもしれない。

ただ、「壊れることを自分に許してはいけない」と律する強さも大事だけれど、どうか壊れないことがすべてではないと分かっていてほしい。


それにしても、約10年前に公開されたこの映画、キャストがとんでもない。

北村匠海、松岡茉優のあどけなくみずみずしい姿!といっても松岡茉優はすでに松岡茉優だったような気がする。

ハマケンに窪田正孝、メイちゃんの執事の夕輝壽太くんに、こわ〜い演技でゾッとさせてくれた風間俊介!

音楽もめちゃくちゃ良かったな、ROCK'A'TRENCHとandrop、最後の僕が僕であるためにも最高だった。

ドラマを観ていないわたしでも充分すぎるほど楽しめたけれど、ドラマ観るべきだったな〜。こういう失敗を何回するんだろうな。




生徒会選挙の演説で、ある女の子の声が思いっきり裏返っちゃうシーンがあるのだけど、わたしも高校のときにやったことがある。

「こんにちは!」を、それはそれは盛大に。

頭が真っ白になって、目の前にいた全校生徒たちがどんな反応をしていたのかもう思い出せないけれど、あのときの恥ずかしさと絶望感は一生もの。

そんな苦い思い出が甦りました。
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