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脳男のRのネタバレレビュー・内容・結末

脳男(2013年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

自宅で。

2013年の日本の作品。

監督は「去年の冬、君と別れ」の瀧本智行。

あらすじ

都内近郊で無差別爆破事件が発生、刑事の茶屋(江口洋介「映画 ネメシス 黄金螺旋の謎」)は犯人のアジトで鈴木一郎(生田斗真「渇水」)を確保する。茶屋の指名で精神科医の鷲谷(松雪泰子「ゲキ×シネ 「神州無頼街」)が鈴木の精神鑑定を担当することになるが、彼は生まれつき人間らしい感情を一切持たず、実の祖父から犯罪者を抹殺する殺人ロボット「脳男」として育てられていたことがわかる。

Filmarksの評価は低いけど、実は結構好きな本作。公開時、劇場で観て、あまりにも当時の感覚で衝撃的で、Blu-rayまで購入してしまったくらい思い入れのある作品。

今回はそんなBlu-rayを引っ張り出しての久しぶりの鑑賞。

お話はあらすじの通り、いわゆる「なめてた相手が殺人マシーンでしたムービー(©️ギンティ小林)」系譜にあたる作品…いや、違うな。普通に殺人マシーンムービーか。

ただ、やっぱ改めて観ても主役の「脳男」鈴木一郎a.k.a入陶大威を演じた生田斗真がカッコいい。役柄通り、感情を一切排した人形のような無表情はやはりアイドル路線ではなく、演技路線で頑張ってきた彼が演じるからある種、凄みがあるし、それでなくとも端正なお顔立ちと極端にシンプルなノーマルルックから漂う「闇」の気配がものすごく厨二心をくすぐりまくる!

また鈴木と対峙することになる今作のヴィラン(と言ってしまってもいいくらいの悪役っぷり)、緑川を演じる二階堂ふみ(「大怪獣の後始末」)!!まだキャリア初期らしく初々しさがある…と思いきや、そんなことを感じさせないくらい、黒髪ノーメークのいっちゃってる!なエキセントリック演技が堂々たるもので、連続爆破事件を行う猟奇殺人者という若手女優なら躊躇してしまうような役柄を嬉々として演じていて、この頃から既に若手の枠に収まらない只者ではなさを感じさせる。ただ、それでいてほのかに「ヤンデレ」感もあり、元々のキュートさもちゃんと兼ね備えているあたり、ただイカれ演技やってるわけではなくて流石。

また、脇を固める松雪泰子や江口洋介も主役、悪役を引き立てつつ、ちゃんと存在感を発揮していたし、鈴木の過去シーンでそれぞれ重要な役割を果たす石橋蓮司(「リボルバー・リリー」)や小澤征悦(「キングダム2 遥かなる大地へ」)の語り口も流石。

そして、故、夏八木勲(「ソ満国境 15歳の夏」)の「脳男」を生み出したマッドサイエンティスト的な役回り!最期、炎に包まれながらも脳男、鈴木が覚醒したことを喜び笑いながら死ぬ様は痺れた。

あと、こちらも二階堂ふみよろしく「ヒミズ」繋がりの染谷将太(「ほつれる」)!!まだ未見な人にはネタバレなので言えないが、自然体で醸す「不気味さ」がすげぇ。いい役者さんだ。

そして、お話自体も、この手の邦画作品にしてはなかなか容赦がない描写が多く、序盤のバス爆破のシーンだったり、緑川のターゲットになった占い師が舌ちょん切られたり、終盤での江口洋介演じる茶屋刑事の後輩が爆発で上半身跡形もなく吹っ飛ぶなどグロ描写もなかなか。

加えて、アクションも中盤のバイクチェイスからの爆破シーンだったり、終盤での緑川の乗った車が何度も何度も鈴木にぶつかるシーンだったりとかなり気合いが入っていて良い!

ただ、まぁ今観ると主要キャスト以外は、(特に太田莉奈(「劇場版 ルパンの娘」)など)演技酷いし、話運びもやりたいことはわかるんだけどダサいシーンも多い。

ただ、それでも日本映画でもダークヒーローものを作ってやるんだ!という作り手の気概はヒシヒシと感じさせるので、どうしても嫌いになれないんだ、俺は、これ。

そして、今作の最高なシーン。「ある人物」を殺して、遠くの橋の上から松雪泰子演じる鷲尾と電話で会話をした後、「あなたはどこへ行くの?」という問いに対して何も言わずにそれまで一貫して無表情だった鈴木が不敵に笑むラスト…からの!!

イギリスの伝説的バンド、キング・クリムゾンの「21世紀の精神異常者」が流れるカッコ良すぎるエンディング!!それまでキング・クリムゾンの名前は知っていたけど、楽曲は今作で聴いたのが初めてで、そのあまりにもプログレッシブなギターリフとリズムテンポに衝撃を受けて、すぐにレンタル屋に走ってアルバムをレンタルしたのは良い思い出だなぁ。

そんなキング・クリムゾンとの出会いもあり、思い入れのある作品。また忘れた頃に何度でも観たくなる個人的に大好きな作品だ。
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