映画鑑賞のおさる

ダイ・ハード/ラスト・デイの映画鑑賞のおさるのレビュー・感想・評価

2.9
世界一ついていない男ことジョン・マクレーンが活躍するアクション映画のシリーズ第五段。

今度は、ロシアでトラブルを起こした息子を助けにモスクワを訪れたジョンが、ロシアの政治家の陰謀に親子ともども巻き込まれていく。

個人的に、映画の前半はあまり楽しめず、後半はそれなりに楽しめた。

まず、前半は、ジョンの息子のことをいまいちよくわかってない状態で目まぐるしくアクションが繰り広げられていくので、ただただアクションを見ているだけという感じになってしまった。加えて、派手なカーアクションでカメラワークが激しすぎて気分が悪くなったのもよくなかった。カット割りが多いうえに、カメラの揺れも大きく、三半規管が弱い人には合わないように感じた。その影響で余計に話の展開に集中できなかったのもよくなかった。

一方、後半はそれなりに楽しめた。息子の立場もはっきりするので、前半のただただアクションを見せられる展開から脱出できたのがよかった。また、これまでのシリーズとは違い、謀略を巡らす政治家との戦いだけあって、二転三転する展開が面白かった。ただ、絶体絶命の状況で親子そろってヘラヘラしだすところは緊張感がなくて少し冷めた。

脚本についても、いくつか難点があったように思う。まず、最初のカーアクションで一般人を巻き込みすぎだった。いくら息子を救うためとはいえ、あれだけ多くの人を巻き込んでは、刑事として失格だろう。

また、映画の中盤、敵を殺すことが目的のような発言がジョンからあったことにも違和感があった。ジョンは粗暴なところはあるし、これまでに敵を何人も殺してきたが、あくまで刑事として、父親として、市民や家族を守るためにそうしてきたのであって、決して殺しを楽しむような人物ではなかったように思う。なので、市民を巻き添えにしたカーアクションとあわせて、しっくりこなかったというのが正直な感想だ。

さて、ダイ・ハードシリーズを1~5まで見終えて、6はないのかと思い、少し調べてみると、ディズニーが20世紀フォックスを買収したときに続編の製作が頓挫したらしい。(なんてこった。。)

ブルース・ウィリスは、昨年、失語症により俳優業を引退したという寂しいニュースも聞いているので、おそらくこの映画が彼の出演する最後のダイ・ハードシリーズになるだろう。長年に渡って楽しませてくれたブルースに感謝をしつつ、最後にもう一花咲かせてほしかったという正直な感想を添えて、本作の感想としたい。