岡田拓朗

潔く柔くの岡田拓朗のレビュー・感想・評価

潔く柔く(2013年製作の映画)
3.6
人としての優しさや純粋さが詰まっていて、総じて美しい作品だった。

過去の境遇が似通ってる2人が出会うことで、徐々に過去の取り返すことのできない後悔から解放されていき、閉ざされていた、隠れていた想いに正直になることができ、想いが繋がり合った。

そこまでに至る過程やその中での優しさがゆえに縛られていたそれぞれの悩みに人間らしさが詰まっていて、それが美しかった。

直接的に自分のせいで大切な人が亡くなったわけでないのに、自分を責めてしまう。
それも何年の年月を経てまでもそれを忘れることができず、なかなか前に進めない。
それも人としての優しさを持っているからに違いない。

自分を責めつつも自分を責め続けたくない、そこから解放されたい葛藤を持ちながら前に進みたいと生きていく瀬戸カンナ(長澤まさみ)と赤沢禄(岡田将生)。
同じような境遇を持った2人がお互いを助け合うように、許し合うように徐々に寄り添っていく。

それぞれが悩んでいた過去の罪悪感にお互いが終止符を打とうと解放されようと、いやそれだけでなく大切だった人が確かにそこにいたことを、まだ魂は残っていることに向き合うために、思い出の場所に赴く。

その中でまた過去が反芻され、物思いにふけていく心が綺麗なカンナを演じる長澤まさみの類い稀ない美しさが際立っていた。

赤沢の大切だった人の姉愛実(池脇千鶴)は赤沢にとても優しく幸せになって欲しいことを願い、赤沢もまた愛実に対してそれを望み愛実の娘に会いに行き、娘がしゃべることができるようになった。

主人公の2人だけでなく、周りの優しさや後押ししていく姿の温かさが何とも言えないしんみりさを与えてくれ、作品の世界にのめり込んでいく。

優しいからこそ全て背負っていこうとしてしまうのが人ではあるが、ときには自分のために幸せを追求してもいいんではないか。
過去と向き合うことで、今を変えていくことって、素敵で大小あるが、自分もやっていることがあるなーと。
後悔は向き合うことで、意外と前に進むきっかけになる。
それを肯定してくれるような優しさにも包み込まれているような作品だった。

P.S.
出てくる景色や雰囲気がよすぎて、より作品を際立たせていた。
広島県福山市、坂町、呉市、竹原市、三原市、尾道市など、やっぱり広島っていいところだなーと。
ロケ地巡りしたい。
冒頭の青春真っ盛りのキャスト陣もよかった。
特に高良健吾の演技が本当によい。
また、純粋な長澤まさみの美しさが際立ってる作品でもある。
もちろん岡田将生もバランスがとてもよかった!
主題歌の「かげろう」もとてもよい!
好きな映画や監督が被っていて、その話で盛り上がれるのとか最高やろなー。
岡田拓朗

岡田拓朗