和桜

アフター・アースの和桜のレビュー・感想・評価

アフター・アース(2013年製作の映画)
3.0
シャマラン迷走二作の一つ。
『シックスセンス』でその才能を世間に知らしめたシャマランだったが、『レディ・イン・ザ・ウォーター』に始まり『エアベンダー』『アフターアース』といった作品によって、彼はラジー賞の常連とまで言われるほどに酷評され転落した。
『レディ・イン・ザ・ウォーター』はファンからの受けもそこそこ良いし自分も好きな作品だが、後者二作はシャマラン好きですら戸惑いを隠せなかった。

ただ、『アフターアース』についてはいくらか事情が異なっている。
この当時のシャマランと言えばプロデューサーの介入をなるべく排し、脚本すら自身で書き上げる、まさにワンマン監督だったのだ。
しかし、この作品は当時仕事が少なくなっていたシャマランの誕生日プレゼントとしてウィルスミス側から提案されたものだった。
そして、統括プロデューサーにウィルスミス一家が名を連ね、脚本にも様々な人物が関わっている。
ある意味で今までのシャマラン作品としては経緯が異なっており、プロモーションとしてもシャマランの名前よりもウィルスミス親子がプッシュされることで、息子のための壮大なファミリー映画と世間からからかわれる羽目となった。

そんな制作過程にありながら、『エアベンダー』よりもこの作品にはシャマランらしさが溢れているのは面白い。カメラワークはもちろんのこと、彼が常にこだわり続けた「恐怖の克服」がそのまま設定に反映されている。壮大な規模でありきたりな作品になってしまってはいるが、ファンにとっては『エアベンダー』で失われたシャマランらしさの復活の兆しを見ることが出来る作品でもあった。

ちなみにこの作品のすぐ後に、シャマランはかなりの低予算で『ヴィジット』という作品を作り上げラジー賞を返還。
次に続くシャマランユニバースは、自分の中でも一番と言っていい程期待させてくれる映画となっている。
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