るる

茶の味のるるのネタバレレビュー・内容・結末

茶の味(2003年製作の映画)
2.6

このレビューはネタバレを含みます

最初見たときは、なんだこのゆるやかな世界は、と思って、面白さが全くわからなかったのだけれど、映画鑑賞を趣味にして、7年ぶりに見て、意味がわかった。面白い。面白いよ、これ。

まさか『エヴァンゲリオン』の庵野秀明が出ていたとは知らなんだ。母親がアニメーターという珍しい設定も面白いが、それが後半に生きてくる感じが良かった。ああ、ずっと謎の会話をしてると思ってたけど、こういうアニメを作ってたのね、とか、単純に「絵が動く」面白さを楽しめた。

これ、舞台を田舎にせず、アニメーターの話に絞ったら、なかなか画期的なお仕事映画になったんじゃないのかなあ。

ラッシュを見ながら若いアニメーター達が「びゅーいーん」「シュババババッ」「ちゅどーん」などとはしゃぐ姿が新鮮で興味深かった。ああ、アニメの制作現場ってこんな感じなのかと…アニメ好きは必見。

奇妙なマボロシを見続ける少女の揺らぎも良いし、妻の仕事復帰を応援しつつ、どうにも冴えない、謎の催眠術を使う三浦友和の佇まいも良い。飄々とした浅野忠信は謎の叔父という存在感だけで作品前半に安定感をもたらしてくれた、そのぶん、彼の人間らしさが出る個人パートは余計だったように思うけど。寺島進には笑ってしまう。

最後の種明かしからの、家族の再生、少女の成長の描写が良いです。我修院さんに平伏。
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