ぬーたん

モリー先生との火曜日のぬーたんのレビュー・感想・評価

モリー先生との火曜日(1999年製作の映画)
4.5
このところジャック・レモンを懐かしんで古い作品を観ている。
レモン74歳。今作は彼の遺作で、いつものコメディーではなく、実話ベースのシリアスなもの。
1997年に出版された原作本は、ベストセラーになり、私も当時読んで感銘を受けた。
筋萎縮性側索硬化症(ALS)に侵されたモリー教授との『授業』を書いたジャーナリストのミッチ・アルボムのノンフィクション。
これを1999年に映画化したのだが、このテレビ映画だった。
モリー先生役にぴったりのジャック・レモン。
モリー先生もお茶目な方だったから。

ミッチはスポーツコラムニストと活躍していた。
たまたまテレビで取り上げられていたモリー先生の病気を知り、卒業後16年経って初めて会いに行く。
そしてその日から毎週火曜日にモリー先生の『授業』を受けるために飛行機に乗りレンタカーを運転して会いに行くようになる。

モリー先生が優しく語る、人生の素晴らしさ。
そして、やがて来るだろう別れの日に向けて、〔死〕について話すことはミッチにとってつらいものだったが…。
『死ぬことで人生は終わる。でも絆は終わらない』

モリー先生が語る言葉のひとつひとつに、当たり前のことなのに、すっかり忘れてしまった大事なことを気づかされる。
ミッチが毎日の忙しさの中で忘れてしまった大事なこと。
大事なひと。
人生の意味と愛の素晴らしさ。
ミッチは私であり、きっとあなただ。

開始10分のハグでもう泣ける。
優しく寛容で愛情深い、恩師。
モリー先生の生きてきた人生。母親・父親のこと。
ジャック・レモンの過去の作品の中のキャラ。
その2つが一緒になる。
74歳の老けて力のない、1人が2人の人生を見せる。
素晴らしい言葉と、演技。
テレビ映画らしく1時間半と短いし、低予算?なのかカメラなどもいまひとつだけど、下手な映画よりずっと良い。
ジャケットもホンワカして。いいね。

ジャック・レモンは最高の喜劇役者で、魅力的なひと、だった。
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