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フィギュアなあなたのどーもキューブのネタバレレビュー・内容・結末

フィギュアなあなた(2013年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

フィギュアなあなたと出会ったら


2013年作。
ファムファタル製作。
脚本、監督、原作石井隆。



日本映画界の中でもエロスと美学を閉じ込める世界観。お気に入り石井隆監督。

今までの鑑賞おさらい。まずは脚本家時代。

相米慎二監督演出は、村木と名美の「ラブホテル」

池田靖春監督演出で正統派殺人鬼ホラー。テレビクルーが見た罠とは?海外発売もされた「死霊の罠」

そして監督作品。
石井隆初監督の村木に竹中直人を配し、のち「天使のはらわた」シリーズとする「天使のはらわた赤い眩暈」(1988)

三角関係からはじまる石井隆ラブサスペンス。大竹しのぶを迎え中期の傑作「死んでもいい」アルゴプロジェクトレーベルの意欲作品。

石井隆の名美シリーズ第1弾芸能人本格作品。主演余貴美子「ヌードの夜」

集団犯罪物で大ヒット「GONIN」
集団犯罪は全て女性。劇場で見て凍りつく血と裸体「GONIN2」大竹しのぶのぶっとびセーラー服必見。

佐藤寛子がのたうちヌメる「ヌードの夜 愛は惜しみなく奪う」名美シリーズの最後の作品か?!

若手を迎え新たなるリメイク「GONINサーガ」

そして壇蜜を演技派に転じさせ、石井隆のやりきった鞭と幻想が跳ぶ「甘い鞭」見たときにびっくりするほどやりきっていた殺傷とSM。傑作だった。こんな鑑賞履歴。

前から見たかった石井隆作品。うちのビデオ屋ではいつの間にかアダルトコーナーに移動。

ジャケットは、フェティッシュにうなだれる柄本佑と赤いふともも。鑑賞してみた。



終盤のとあるシーンで涙ぐんだ。とっても良かった。まあ考えると「そんなアホな?!そんな展開あらへんがなあ~」みたいなシーンなんだが。いやいや、だからこ、そ、の映画であってとっても良かった。

 石井隆が間違いなくやりたいという絵をしっかりおさめている感じがやはり前半から伝わってきた。

予算が配されたおかげでセットの画作りがスケールアップ。「天使のはらわた」シリーズには見られなかった赤い光線と無数の不気味なマネキン。そこに佐々木心音がいる。まるで人形か死体のよう。

物語は、とある出版社員に柄本佑。どうやら説教受ける社員らしい。上司は竹中「ムラキ」直人。腹いせに飲み過ぎ、当たり散らし、逃亡するうちに佑くんビルの一角へ。そこにはなんだかフィギュアなあなたたる美しき女性がいた。はたしていかに!のようなお話し。

冒頭から素晴らしい導入。わかりやすい駄目社員。フィギュア好き。髪がボサボサ。竹中編集長にぼろかす言われる。書店説教。石井隆監督、漫画家でもあるので書店事情はよく認識してるはず。こちらの最初必見。

そもそも2000年代に入ってからの石井隆監督は、もう、まちがいなく凄い領域に入ってると個人的に思っている。
「甘い鞭」では、やり尽くしていて。SMと殺人サスペンスを結びつけ、予算倍増で素晴らしい世界になっている。
「花と蛇」リメイクで手応えを得た世界観をしっかり「甘い鞭」に注入していて、石井隆の映画に少しみえなかった。

与えられた称号の如くセルフリメイクではないが、アナザーストーリーのスピンオフ系「GONINサーガ」の若き群像に閉じ込ている。しつこいくらい群像をぐちぐちオロオロさせる「GONINサーガ」もとっても良かった。

予算が90年代の頃と比べると見た目に見ても増加した感じが2000年以降余すところなく余らし、長く引き延ばしている。多分おそらくこれが「イヤ」となる方もいるだろう。結構なだだ長いカッツ満載は満載。

本作で言えば出会いのビルの赤い部屋のシーンだ。2、3分で済ませられる出会いをたまらなくフェティッシュな佑さん演技で引き延ばしている。これが石井映画、石井ワールドだ。

この引き延ばしがとっても良いのだ。なんでとっても最新作か待ちどおしい映画監督になった。

終盤の素晴らしいファンタスティックな石井隆の女性崇拝たるシーンに涙ぐんじゃいました。

同様のシチュエーションは、是枝監督の「空気人形」なんて作品もあったけど。「フィギュアなあなた」の方が断然好き。物語の質はほぼ同系統なのにこんなにも違うという良い例。見比べて見ては?まあ人形がペドゥナだけど。

後半からの素晴らしい物語の飛びかた、終わり方。フィギュアを愛するあまりのふたりの関係もなんだかぼやけて見える部分もあるが、ラストの素晴らしい石井隆ワールド全開の石井カッツに感動しました。


さて
石井隆が魅せる 
フィギュアなあなたと出会ったら

ぜひごらんください!
石井隆ファンはぜひ!

追伸
石井隆最新作周辺見ていきます。
「花と蛇2」
「人が愛することのどうしょもなさ」
こうご期待!

追記
奥山和由プロデューサーと新たな石井隆作品を撮るとかとらないとか?!ツイート情報だが、とっても楽しみ。
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