genarowlands

ホーリー・モーターズのgenarowlandsのレビュー・感想・評価

ホーリー・モーターズ(2012年製作の映画)
3.6
観賞後にwikipedia読んだら、へーーーって思うくらい、感じたことと違う難しいこと(映画史とか)がいっぱい書いてあった。最初はやっぱりレオス・カラックス天才だわ、この発想も映像もすごいわと感動してウキウキしてたんだけど、どんどん大丈夫?となり、見終わっての感想は、カラックス、病んでない?と思った。

全編悲しみに包まれていて、人生の時間を切り売りして生きる役者の悲哀と苦痛のみしか感じられなかった。「トゥルーマンショー」に近い気持ちの悪さが残り、これは墓碑なのかも、と思った。実際に墓地や死のシーンばかり。

エンドロールで公開の前年に亡くなった妻のカテリーナ・ゴルベワの写真がアップされるし、意味深すぎる。妻への献辞なんだろうか。

ドニ・ラヴァンの七変化はもちろんすごい。でも、どの章も痛みしかない。役者のオスカー(ドニ・ラヴァン)が唯一心を許して話せるのがドライバーのセリーヌ。彼女だけが演じていないと思っている。誰もが演技に見えて、現実感が遠くなり、人を信頼できなくなっていくオスカー。この名前は皮肉。

やはりこの時期、カラックス病んでいたんじゃないでしょうか。

発想は天才ではあるけど、芸術には昇華されていない生のむき出しの感情をストレートに表しただけに感じました。料理されていない生もの。消化できていない感情。好きじゃない。
genarowlands

genarowlands