るる

素敵な相棒〜フランクじいさんとロボットヘルパー〜のるるのネタバレレビュー・内容・結末

3.3

このレビューはネタバレを含みます

認知症を題材にした作品で、『優しい嘘と贈り物』『きみに読む物語』などを彷彿とさせるが、近未来SFとして、なかなか良くできているのが特徴。音楽が良い。

ただし、ロボットと盗みの計画を立てるからといって、クライム映画のような爽快感を期待してはダメ。あくまでロボットSF、むしろ、認知症に伴うプチ・サスペンスとして楽しむべきである。

親の介護にサジを投げてロボットに任せようとする息子や、人助けだなんだと妙に張り切って介護しようとして親に鬱陶しがられる娘など、主人公を取り巻く家族がリアル。

整理整頓できないなど、「元気そうに見えるけど、やっぱり少しおかしくなってる」老人のまだらボケの描写など、認知症あるある、介護あるあるが詰まっている。

ロボットヘルパーのモデルは、会話ロボットの「パルロ」だろうか? 見た目は「アシモ」そっくりだが。

記憶が混乱し、気がつけばロボットと人間の区別が曖昧になっているくだりなど、ほのかな緊迫感が漂い、興味深く観た。

毎日訪れている図書館と、いつも受付で迎えてくれる女性司書は、フランクにとって記憶そのもの。
図書館の機械化=記憶の在り方の変化という示唆が含まれていたり、ロボットのメモリを消去するか否かというストラグルが肝になったり、ドン・キホーテ(=認知症の老人)の稀覯本が登場したり、細かいところまで、よく考えられた脚本だと思う。

MR.ダーシーという名前のロボットにもニヤリ。ロボット同士、会話させるシーンなども面白い。

通信機器などの描写も含めて、本当に、近い将来、ありうる未来だと思った。今後再評価されそうな映画だ。
るる

るる