イチロヲ

モアのイチロヲのレビュー・感想・評価

モア(1969年製作の映画)
3.5
一人旅に出立したドイツ人青年が、ヒッピー・コミューンで遭遇した魅力的なアメリカ人女性を追いかけるうちに、薬物依存の日常生活へと落とされてしまう。当時のヒッピー・カルチャーを投影させている、ヒューマン・ドラマ。

端的に述べると、魔性の女(=薬物中毒者)に感化された青年が、人生を破綻させられてしまう物語。都会から出てきたばかりの堅実な青年が、「あの女は危険だぞ!」と釘を刺されているにもかかわらず、猛烈アタックを仕掛けてしまう。

ヒッピー世代の刹那的かつ破壊的な言動が生々しく描かれており、ヘロインならぬヒロインに依存してしまう青年のジタバタ模様が醍醐味となっている。「薬物中毒からの脱出不能状態」をベースにしながら、ヒロイン側のジタバタを平行線で描くところも面白い。

ピンク・フロイドの音楽をふんだんに使用しているため、一部の界隈ではカルト的に語り継がれている作品。舞台となるイビサの景観とサイケ期のコスチューム・プレイを楽しむことができる。
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