emily

プライズ〜秘密と嘘がくれたもの〜のemilyのレビュー・感想・評価

2.9
7歳の女の子と母親1970年代の軍事独裁政権下のアルゼンチン。息をひそめるように暮らす毎日の中で、7歳の女の子にはそんな状況はわからない。そうして何故?と素直な疑問を問いかける。素直な気持ちを書いた作文を軍人に提出し、母親は血相を変えて子供を連れてほかの土地へ引っ越そうとする。

海辺の窓のないぼろぼろの家。何かから逃げて、身をひそめるように暮らしているが、その理由は明かされない。ただ子供が毎日学校に行き、母は子供が変な事を言わないかピリピリして、偽りの自分を作るように教え込む。それが自分の身を守るからだ。しかし子供のピュアな心はなぜ?自分の素直な気持ちを言ってはいけないのか。なぜ自分を偽らないといけないのか。なぜ逃げないといけないのか。

軍人に提出する作文で素直な気持ちをぶちまけてしまうが、母から非難され、逆のことを書くように言われる。その逆のことが表彰されてします。素直な気持ちの反対のこと。だから彼女の素直な気持ちがそこにはあるのです。

そんな嘘と偽りに疑問を持ち続けた子供のピュアな心が、時代背景の中でもひときわ輝いて、母の気持ちを動かす。
子供は見ていないようでちゃんと見ている。
母の姿を見て、母の真似をして、けなげに生きているのだ。

表彰式でサイズの合わない靴を履いてる少女の足の痛さが、
母の心の痛みとリンクする
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