中学生の時に父親が、我が家で初めてのクーラーを私の部屋に付けてくれた。
真夏に一瞬で涼しくなるのが珍しくて、なんだか異世界に行ったような非日常を体験してテンションが上がった。
友達を呼んで、スイッチを最強にして、まるで冬みたいやな―と面白がって布団にくるまっていたら、父親が入ってきた。
その時は、みんな暑い思いをしてるのだからやめなさい、と静かに言われただけだったが、友達が帰ってから、こっぴどく叱られたのを思い出した。
私の場合は同じようにクーラーを付けてもらっても、ファルハーンのように勉強ができたわけではなかった。
父親には申し訳ないと思っている。
私の感覚ではインド工科大学に入っただけでも彼らはエリートであり、そこで落ちこぼれと言われても、ぜんぜん悲観するようなことではないと思うのだが、彼らからすると親の期待とか世間の目などのしがらみは、かなりの重圧になっているらしい。
そういう苦悩も描きつつ、楽しく明るく、何があっても乗り越える彼らの友情には、笑わされ、泣かされる。
ほんとにすべてがうまくいく話だった。