凄腕の拷問のプロと間違えられた男の話。
間違いだと分かれば命はない、さあ、どーする。
始めから終わりまで、いつ殺されても不思議じゃないのに、このヘタレ男がなんとかうまく乗り切っていくのが面白い。
どんな惨いことも平気でやるはずの「トロントの男」もどこか憎めない。
気が付けばコメディっぽいバディムービーになっていた。
昔、私の父親が生きていたころ、一番惨い拷問は何か、という話をしていたことがある。
親父が言うには、一番惨いのは、「拷問を受ける二人の人間がお互いの歯を抜いて、それを相手の頭にハンマーで打ち込む」というのを無理やりやらされるというもの。
それだけでもかなり痛くて苦しそうだが、この拷問の本当に怖いところは、これをやらされる二人は、最初はすまないと言いながら、渋々やっているのだが、そのうち相手が憎くなり、遠慮なしに歯を抜いては頭に打つようになるというのだ。
例え親子であろうと、これをやらされると血まみれになって笑いながらやるようになるらしい。
親父がどこでこんな話を仕入れたのかわからないが、本当にそんなことが行われていたとしたらぞっとする話である。
そのほかにも親父は古今東西の拷問の話をいろいろしてくれたものだ。
私は怖いながらもわくわくしながら聞いていた。
そのおかげで私は「拷問男」なんか観ても、なんか、ぬるいなあと感じるようになってしまったのだ。
めでたしめでたし。。。