なまくらウォッチメン

鱒のなまくらウォッチメンのレビュー・感想・評価

(1982年製作の映画)
4.2
変な映画だが面白い
ユペール演じる田舎娘が、実業家との奇妙な縁でバブル前夜の東京へ訪れ、最終的に成り上がっていく話
どこに居たって結局は同じ、ヘテロもホモセクシャルもどうだって良い、という退廃的な台詞から、ロージーが実際に受けたであろう様々な抑圧を感じられる

数々の男と関係を持ちつつも誰とも寝ないユペールの成り上がり、という筋だけを見るとフェミニズムっぽくも見えるが、随所に垣間見える爛れた同性愛やラストの裕福になったユペールに虚しい表情をさせる辺り、ロージーらしいアイロニーさも健在

『唇からナイフ』のようなシュールな感覚のオリエンタリズムやロージーらしいアイロニーに困惑させられる一方で、ユペールと山形勲が俳句を通して心を通わせるシーンには素直に感動した