ジーナ

ペトラ・フォン・カントの苦い涙のジーナのレビュー・感想・評価

3.9
ファスビンダーの描く、レズビアン達の愛憎劇。

デザイナーとして成功したペトラは結婚に2度失敗し、怠惰な日々を送っている。
屋敷には聾唖の召使いマルレーネがおり、奴隷のようにこき使っていた。
そんなある日、友人の紹介で若く美しい女性カリンと出会う。
彼女に一目惚れしたペトラは一緒に住むように誘い、二人は同棲することになるのだが・・・。

2時間以上あるものの、舞台は主人公ペトラ・フォン・カントが住む屋敷の一室のみである!
それもそのはず、元々ファスビンダーが手がけた演劇を映画化した作品だからだ。
それなのに作り込まれたカメラワークや鮮やかなビジュアル、女優達の白熱の演技に圧倒させられる。
何といっても撮影監督ミヒャエル・バルハウスの手腕が如何なく発揮されている。
ここらから更に「マルタ」「シナのルーレット」「あやつり糸の世界」「マリア・ブラウンの結婚」とファスビンダー映画で活躍し、その後はマーティン・スコセッシにその腕を買われて世界的に羽ばたいて行きました。

また、登場人物の台詞とタイプライターを叩く音が被さる演出もファスビンダーらしく、この音の重複は何故だか心地よくて好きです。

ペトラを演じるマルギット・カルステンセンが痩せ細ってて、不健康そうな見た目なのですが、色とりどりの衣装を身にまとい、シークエンスごとに違った印象を与えるのが美しい。

寂しそうな目をしているが、ペトラに従順な召使いをイルム・ヘルマンが好演していて、このキャラクターが本作で一番お気に入り。
ファスビンダーの「出稼ぎ野郎」では口うるさいメンヘラ妻を演じていただけに正反対の役柄で面白いw

中盤までは正直眠くなる場面もあったんですが、終盤の展開には驚かされる。
ハンナ・シグラ演じるカリンの小悪魔っぷりにハラハラすることに間違いなし!

本作は何といってもラスト3分が超超超最高だ!!!
好きな映画のラストシーンのベスト3に間違いなく入る。
ジーナ

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