彼女が置いていった白い犬ススと暮らすマルティン。4年越しの彼氏と別れ、物言わぬマネキンと暮らすマリアナ。
そして第三の主人公は、街に林立する建物たち。
二人はいまだ出会えぬご近所さん。
原題『Medianeras』は、建物と建物が共有する境界壁のことで、アルゼンチン特有の言葉らしい。
人を分断するセメントからは芽が出るし、顕になる汚れと亀裂は広告を描いて隠してみるけど、美しいかは疑問。その役立たずで無益な壁は正面でも裏側でもない、メディアネラ(側壁)。
運命が見つからないマルティンとマリアナは、圧迫感から解放されるため、そこに無責任で奇跡的な窓を作る。
まるで人間関係みたいなブエノスアイレスの建築事情。個性豊かな街の景観に、繊細で秀逸な心内がよく映える。
観賞後は、心のメディアネラをぶっ壊し街に出て、誰かと繋がりたくなること間違いなし!
目印は、黒ブチ丸メガネと赤×白セーターで。