茶一郎

オンリー・ゴッドの茶一郎のレビュー・感想・評価

オンリー・ゴッド(2013年製作の映画)
4.1
『 おれはジャイアン ガキ大将 』

 裁きを下したら必ずカラオケで歌う。
ゆっくり、のっしり、じんわりと歩く登場人物。明らかに現実の時間90分より長い鑑賞時間は『レフン時間』なるもの。監督ニコラス・ウィンディング・レフンによる濃厚な雰囲気にノれるか・ノれないかで評価が大きく分かれる。奇妙な、神と母親への復讐のお話。

 赤のライティングは嫉妬、感情の高ぶりであり、緑のライティングは神と静寂を、一つ一つの画力がとにかく凄まじい。
『俺の歌を聞け』と言わんばかりに熱唱するチャン、それをじっと見つめる部下たち。神の裁きなるバイオレンス。とても奇妙で不思議空間。分かりづらいストーリー。

 主人公は、恋人がいるも真ともなセックスプレイができない。彼の母親の存在感は異常で『兄の性器の方が大きかったわ。でも勘違いしないで、この子(主人公)も小さいわけではないのよ』と何だそのフォローは、というか何故、母親がそんなことを知っているんだ。この母親へのマザーコンプレックスに縛り付けられ、母親のためにチャンに殴り合いを挑んだ。
主人公のある過去が明らかになり、彼の差し出す腕に何の意味があるのかを知る。
そう考えると、実はハッピーエンドな収束。

誰にもオススメできない映画だが、90分間、あるいは体感時間はそれ以上、この作品のムードに引っ張られてしまった。
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