こたつむり

ヘッドハンターのこたつむりのレビュー・感想・評価

ヘッドハンター(2012年製作の映画)
3.7
「TSUTAYAだけ!」なのに面白いという稀有な作品、というのは言い過ぎですか?意外な良作。

どんな作品であれ主人公のモノローグから物語が始まる場合、とてもテンポが良くなると思います。
本作品でもその例に漏れず、テンポが良いのでトントンと物語の中に引き込まれていき…そうなのですが、ところが。実は。僕はなかなかそれが出来ず。

というのも、主人公に感情移入が出来なかったのです。
コンプレックスの塊だし、そのせいなのか捻くれているし、拝金主義だし、犯罪者だし、やたらと自信過剰なまでに偉そうだし。あー、やっぱり本作品も「TSUTAYAだけ!」だからなあ、なんて失礼な考えが脳裏に横切っていたのですけれども。
それが観終えた後には評価が変わっている、というのは。僕がお人好し過ぎるのでしょうか。それとも、本作品の計算通りなのでしょうか。むむ、やるなあ。

でも。
よく分析してみると、主人公は次の点をクリアしています。
それは、
一生懸命という言葉が軽々しく見えるほどの必死さで、
井戸の底から小さな空を見上げて諦めずに登っていくこと、
であります。
こういう姿勢に僕は感動してしまうのです。
たとえ、それが憎しみ満載の仇敵であろうとも。
本作品の主人公のように鼻持ちならない男だとしても。
ブラボーと言いながら手を叩いてしまうのです。
我ながら僕って良い奴だなあ、なんて思うのですけど。
あれ?そんなことないですかね?

まあ、そんなこんなで自画自賛は置いておいて。
もしも、「TSUTAYAだけ!」に何度となく騙されていても。本作は楽しめると思いますので。是非。
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