チッコーネ

熱波のチッコーネのレビュー・感想・評価

熱波(2012年製作の映画)
3.0
全編モノクロ、その美しさを充分に引き出す技量を持つ監督で、イメージカットも多数挿入される作風。
特にアフリカを舞台にした場面では50~60年代の映画が想起されたほか、冒頭に至ってはサイレントのような趣。
後半のメロドラマ脚本は凡庸で退屈だが、高齢化社会の風景をうまく盛り込んだ前半は人物のカットバックが多く、キャラクターの背景が不明なことも相俟って、シュールな雰囲気。
後半へのバトンタッチにあたり、隣人ケアに奔走する狂言回しのおばさん女優をばっさり切り捨てる采配も、クールだ。
この前半があってこそ「人に歴史あり」の余韻が活きてくる。