イチロヲ

レミングー壁抜け男のイチロヲのレビュー・感想・評価

レミングー壁抜け男(1983年製作の映画)
3.6
アパートの一室に暮らす青年が、隣室との壁が消失してしまったことを契機にして、混沌とした人間関係の中に堕ちていく。83年度、天井桟敷による舞台公演「レミング」を固定カメラで収録してある映像作品。DVD特典には、寺山修司の最後のインタビューが収められている。

様々な境遇に置かれている性格の違う人間たちが、それぞれの感性のもとに人との接触を求めていく。「息子の母親離れ」という寺山の普遍的要素も、もちろん登場する。「この混沌とした人間社会において、健常者と狂人の別け隔てはあるのか?」という問題提起に着地させているところも寺山らしい。

ひとつの映像ソフトとしてみると、映像・音声が非常に不明瞭だし、舞台のライブ感覚というのも、いまいち伝わってこない。だが、資料的価値はかなりのものがあると思われる。