鎌谷ミキ

リアル 完全なる首長竜の日の鎌谷ミキのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

原作未読。CSで再び観賞。この作品は、明らかに映画館向き。あの環境だからこそ楽しめるような仕掛けがたくさん張り巡らされているので、二回目を映画館で見なかったことを後悔しています。
テレビの画面で観ると、前半部分はきっと怖くないと思います。エレベーターで初めて見るモリオをドアップで見せられても‘何?’って感じだと思いますが、あれが一番怖かった場面です。突然挿入される、不安定な画質の少年の不気味さ。具現化した死体やゾンビの怖さとで「映画館を出たい」と本気で思いました(逆にいえばホラーとして、演出力で成功している)
この作品、9割ぐらい佐藤健演じる浩市の頭の中だったわけですが、食事は水分しか取らない(点滴)、センシング後のスマッシュの時に中谷美紀が現れる(いつも決まった時間に回診している)、車移動時の違和感のある合成(どこかわからないビジョンはぼやけてしまう)など、二回観ても楽しめるようになっていました。
もう一匹の主人公、首長竜の迫力はテレビでは映画館よりも半減してしまうものの、画の見せ方は黒沢監督のこだわりが感じられて圧倒されます(モリオのダイブ→波の動き→登場とか)
これはホラーでもミステリーでもSFでもなく、二人のラブストーリーとして観れば、あのラストは素敵だと思います。これからは‘リアル’の浩市と、淳美は話すことができるのですから。
鎌谷ミキ

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