ある日、女流作家の篠崎佳子は、彼女の座る椅子そのものに化したという男からの手紙を受け取る。
やがて、彼女はその男との倒錯した愛の世界に落ちていく。
水谷俊之監督が江戸川乱歩の同名短編小説を、清水美砂主演で自ら脚本化し描いた官能ロマン。
人間のフェティシズム、エロティシズムにゾクゾクっと来る官能ロマン。
本の世界をより官能的に、映像としてより効果的に表現している。
椅子家具職人が、自ら椅子の中に入ってしまった、という手紙が、ある女流作家に送られてくる…というストーリーです。
一言で言えば変態映画です。
魚を嗅いで「セックスのにほいがする」と言い、魚に接吻する最初のシーンはもっていかれる。
夫が盲目になるくだりと触角のエロスに目覚める部分は、『盲獣』からの引用かな?
主演の清水美砂が美しい。
一番すごいと思ったのは美術です。
何というか、一つ一つの場面が ものすごく綺麗だったり、猥雑な風景もそれはそれですごく強烈な印象を残したり…。
因みにジャケットのおねえさんは、たまに妄想の世界に走る超潔癖性の売れっ子作家で、旦那はどこかのお金持ちです。
この、元は潔癖症で、真っ白な手袋をはめないと外の物にさわれない彼女が、触覚のみの世界にどっぷりつかるようになり、もはや必要なくなった大量の手袋を一斉に燃やす場面が印象に残ってます。