さりさり

ながらえばのさりさりのレビュー・感想・評価

ながらえば(1982年製作の映画)
4.5
山田太一さんの訃報を知り、追悼の意を込めて、脚本を手掛けた作品を鑑賞しようと思い、何本かの単発ドラマを楽しみました。
ところが、いずれもFilmarksに登録されていないものばかりで、とても面白かった作品なのに、残念ながらレビューが出来ず。泣
気を取り直して、こちらの「笠智衆/NHK3部作」を観ることに。
山田太一脚本、名優・笠智衆主演のNHKドラマです。

*****

息子の転勤で、名古屋から富山に引っ越すことになった笠智衆おじいちゃん。
重い病で入院中の妻に、ちゃんとした言葉をかけないまま引っ越してしまったことが心残りで、引っ越し3日目で「今から名古屋に行くので金を貸してくれ」と息子夫婦に頼み込む。
が、案の定「引っ越したばかりなのに、何言ってんですか! おじいちゃん!」とキツい嫁はアッサリ却下。
昔気質のおじいちゃんは「おばあちゃんに会いに行きたいから」なんてこと、恥ずかしくて言えない。
言ったとしても、このキツい嫁は許してくれるわけがない。

そこでおじいちゃんはタンスの引き出しを無断で開けて、たまたまそこにあった三千円を手にし、そのまま名古屋に直行するのです!
たった三千円で!
(当時の三千円は、今で言うといくら位なんでしょう。一万円弱といったところでしょうか?)
果たして、おじいちゃんは無事におばあちゃんの元に辿り着けるのか。
大波乱(?)のおじいちゃんのロードムービーの始まり始まり…。笑

とにかく笠智衆が魅せてくれます。
そこに佇んでいるだけで泣けてきます。
何だろう、この味わい深さ。
存在感、国宝級ですね。笑

終盤の見せ場は、同じく名優・宇野重吉との夢のツーショット!
素晴らし過ぎる!
これ、もう「世界遺産」じゃん! 笑

満喫しました。
良かったです。
3部作なのであと2作品あります。
もちろん続けて観たいと思います。
名優が演じる名作です。
観る価値はあると思います。

*****

改めて、山田太一さんの脚本の素晴らしを実感しました。
心から御冥福をお祈りいたします。

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