ブタ野郎

新しき世界のブタ野郎のレビュー・感想・評価

新しき世界(2013年製作の映画)
4.3
凄まじく良い…
最高。

構図も脚本も画作りもアクションも演出も意識出来ないくらい引き込まれた。まったくもって集中が途切れないくらいハマった。

序盤からエゲツないシーンと物憂げな表情で心を掴まれた。こいつはなにか抱えてるな…と。そこからチョンチョン兄貴なんて最高のキャラクターが出てきてクールな主人公とのギャップと関係性で鷲掴み笑

ノワール映画…に限らず犯罪系の作品は漫画も小説も大好きだと言うのもあって個人的に相当楽しめた。主人公は警察で暴力団に潜伏している状況なのだが、この葛藤とイラつき、不安や恐怖が痛いほど伝わってきて見ていて疲れる笑
それぐらい演技も迫真で主人公が危機にさらされる時は息が止まる。

基本的に主人公は有能そうというのは伝わってくるのだが、ぶっちゃけ巻き込まれまくるだけ。といえばだけで有能な場面がラストまでほぼない笑
ないというか印象が薄い。派手に暴れるわけじゃないから残りづらいと言えばいいのか…とにかく個人的に主人公は2時間ずっとラストまで葛藤だけしている印象だったのだが!
何故かめちゃくちゃ優秀な事だけは伝わってきて見ていて「お前働いてる?」とか言う気持ちが微塵も起こらない笑
そもそも暴力団に潜伏してるってだけで働いているのだから、キャラクターの成立としてはもはや居るだけで「こいつすげぇな」状態。マイナス要素は少ない。
それと兄貴分への口の聞き方だったりどこか暴力団には俯瞰した様な立ち位置が絶妙で物凄くカッコよく見える。基本ショボくれたりせずにしっかり背筋が伸びているのも効果的なのかもしれない。
そしてそんな印象だったからこそ個人的にラストのカタルシスの半端なさと来たらもうっ……良い…。

兄貴分との関係性とは打って変わって警察側との関係性はクール×クールで、これまた一段とシリアス加減が深くて渋い。コメディよりな関係とシリアス系の関係がしっかり映画内で同居出来ていてバランスが良過ぎる。そこまでコメディよりではないけど、チョンチョンが基本1人で破茶滅茶な感じなので丁度いい笑
ジュングも破茶滅茶だけど、the暴れん坊っていう感じでしっかり暴力団内のキャラも住み分け出来ていて頭にキャラが入ってきやすく混乱しない。キャラクター構成が抜群だった。

なによりも主要人物の死に様が最高。どーせ死ぬならこうやってほしいなぁと思った死に方がドンピシャで来た感覚笑
胸糞というか幸せな感じでは無いのだけど爽やかな気分になる。というかスッキリする。惨めぽくないというか…
いや、惨めな死に方もあるけど、登場人物を壊さない死に方。

意外と登場人物が少なくて話の整理がつきやすかったのも良かった。無駄がなく、テンポもサクサクで見やすい。話自体は暗めなのだが、トーンがさほど暗くない。やや白よりのグレーな雰囲気で、ちょっとエグいシーンもあるけど嫌味が少なく見やすい。途中まじで心引き裂かれるシーンもあるけど、話やそれぞれのキャラクターの深みが増したと思えて良かった。

物凄いどんでん返しという訳ではないが、それなりに驚かされるシーンがあったり、ハラハラするシーンの起伏も抜群。全般に渡ってハラハラするので、この起伏のスムーズさは中々見られないと感じた!

期待値高めで見てたけど超えてきた!

ラストのラストで入るシーンがめちゃくちゃ効いてる。肉食った後のレモンアイスみたいな感覚笑
あの困った様な笑った様な顔が一番印象に残ってる。

高評価も納得な映画!
ブタ野郎

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