来夢

リアリティのダンスの来夢のレビュー・感想・評価

リアリティのダンス(2013年製作の映画)
4.8
23年ぶりのホドロフスキー新作。初めて劇場で観たホドロフスキー作品(DUNEは除く)。リアルタイムに劇場でホドロフスキー作品を観ることは諦めていたので嬉しいよね。
ホドロフスキーの自伝+半分くらいは父親の話。まぁ、エル・トポから連なる、いつものホドロフスキーによるホドロフスキーのための映画だね。
奇抜なビジュアルや詩的な言葉がカルト映画・アート映画としてのイメージを与えながらも、宗教観だったりナチだユダヤだって情報が物語をファンタジーから引き剥がし、ひどく現実的で暴力的な一面となる。
なにやらまたとんでもなくぶっ飛んだ映画を作ったように見えるけれど、実は装飾を取り除くとそんなに難しい話じゃ無いのかな。
結局は父親を描くことでトラウマを乗り越えようってだけのはなしだよね。なので自伝的な映画に興味が無い人にはもしかするとつまらないかもしれないな。俺もどちらかというと自伝映画って絶対盛ってるしあんまりねって思うたちなんだけれど、でもホドロフスキーみたいな変な人の自伝ってやっぱり面白いなと思ってしまう。これだけ装飾されてたらもうリアルかどうかもあまり重要じゃなくなるしね(理想を描いてるところが多そうだし)。でもホドロフスキーの心情的な面を描いているって点ではそこらの真面目な自伝映画より圧倒的なリアリティを感じるよね。それ故に、これまでのホドロフスキー作品への理解が深まる作品なのかな。このあとに改めて過去作を観たら結構腑に落ちるところがありました(単に大人になって理解が深まっただけかもしれないけれども)。そして物語がストレートに文句なく面白いよね。
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