ひろぽん

アメイジング・スパイダーマン2のひろぽんのレビュー・感想・評価

4.4
『アメイジング・スパイダーマン』2作目

ピーター・パーカーはスパイダーマンとしてNYの人々を守り、恋人のグウェンを愛する人生を満喫していた。しかし、オズコープ社の電気技師マックスが事故により変貌した高圧電流を操り全てを破滅するエレクトロを始め、強力なサイ型アーマーで全てを粉砕する怪力鉄人ライノ、そして高速グライダーで全てを切り裂く空中怪人グリーン・ゴブリンが、スパイダーマンのいない世界を創ろうと、ヴィランたちが次々と彼の前に立ちはだかる。スパイダーマンはこの危機から市民を守ることができるのかという物語。


グウェンの父親と娘に近づかないという約束を交わしたピーターが、彼女に危険が及ぶかもしれないと戸惑いながらも共に人生を歩むことを決意していくまでの心の戸惑いが人間らしくて好き。

彼女の父親が度々幻覚として現れることでスパイダーマンとして救えなかった過去と、それを気にせず今を生きて愛して欲しいというグウェンとの間で揺れ動く心境がやるせない気持ちになる。

親友のハリー・オズボーンは久しく会っていなかったという設定で登場する。父のノーマン・オズボーンは先祖代々オズボーン家に伝わる不治の病で亡くなり、ハリーもその血を引き継いでおり彼にも死が迫るなか、何とか生きるために力を尽くすというのが話のキモとなる。

父のノーマンが生涯をかけて生きるために行っていた研究がハリーに受け継がれ、それが思わぬ方向へ向かっていくのがとても切なかった。

ハリーが社長になるもオズコープ社には誰一人として彼の味方が居らず孤独な存在であり、オズコープ社はトラブルを何でもかんでも隠蔽するという悪い会社の印象が強かった。

ハリーがグリーン・ゴブリンとして牙を向いてきたり、グウェンに悲劇が起こるのも結果的にはスパイダーマンの“決断”によって引き起こされてしまったという悲しい運命がよく描かれている。

そして、前作では深く明かされなかったピーターの両親の失踪の真相や、何故ピーターがスパイダーマンになることができたかという謎が解明されていく。親から子へのかけがえのない愛情が感じられて良かった。

今作のヴィランは、高圧電流を操るエレクトロ、高速グライダーで宙を舞うグリーン・ゴブリン、サイの鎧を身につけた怪力ライノの三体という豪華なヴィランたち。ライノはおまけみたいなもので、基本的にはエレクトロとグリーン・ゴブリンとの戦闘がメイン。

スパイダーマンに助けられ彼の大ファンだったマックスが、事故にあってから逆恨みでスパイダーマンを苦しめるヴィランとなるのが悲しかった。元々はバーコードのハゲ頭で友達は居なかったけど根は良い奴だったたのに…

エレクトロの電気を操る青く光るイナズマのようなバトルシーンがとにかくカッコよく、圧倒的な強さを持つ彼をどう攻略していくかがとても見どころがあり面白かった。

ハリー演じるデイン・デハーンはビジュアルが独特でイケメンオーラが凄かったのに、グリーン・ゴブリンになってからのビジュアルの悪さが酷くて残念だった。

劇中でピーターがイヤホンで聴いているPhillip Phillipsの『Gone, Gone, Gone』が心にグッと沁みる感じの曲でとても良かった。君がこの世を去っても、君を愛し続けるよという歌詞がこの作品を体現していてとてもマッチしている。

アメスパの世界観も好きだったから3作目が打ち切りになってしまったのが非常に残念。

この世界線のスパイダーマンもやっぱり悲しい運命を辿るけど、その悲しく切ない物語がやっぱりスパイダーマンの魅力なんだと思う。

スパイダーマンのピーターを見てると大抵の辛いことは乗り越えられそうな気がする。
ひろぽん

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