Kevin

NERVE ナーヴ 世界で一番危険なゲームのKevinのレビュー・感想・評価

5.0
引っ込み思案の女子高生ヴィー(エマ・ロバーツ)は友人とのある出来事をきっかけに裏オンラインゲーム“NERVE”に参加することを決意する。
そのNERVEというゲームはまずプレイヤーと視聴者に分かれる。
そして前者は後者からミッションを与えられ、それにクリアすると賞金が振り込められるという仕組みだ。
初めヴィーは1度きりの条件で挑戦したが、彼女の視聴者はどんどん増え、また彼女もNERVEの魅力に加え、ゲーム中で出会ったイアン(デイヴ・フランコ)という男性に惹かれ止められなくなってしまう。
果たして彼女を待ち構える運命とは...。

この時代にここまでオリジナリティに富んだ作品を作れるなんて...脱帽です。
その上、現代のネットの在り方や社会の在り方そのものにさえ警鐘を鳴らす、意外にも社会派な作風。
全編を通して怖さが付き纏いますが、実際ネット環境が身近にありふれている僕らにも同じ危険が付き纏っていると言っても過言ではありません。

スリルを楽しむことの意味を履き違えた若者達がドラッグさながら“魅せられ、溺れ、支配され、破壊されていく”姿を見て狂気を覚えると共に、仮に自分もこのゲームの参加者だとしたら、染まってしまう可能性があるという恐怖に脅かされました。
煽てられ、金も貰え、瞬く間に有名人のようになれてしまう。
人間の弱みに上手くつけ込んだゲームだなと。
その狂気や恐怖の集合体がゲーム自体の緊張感と合わさり、一つの大きなスリルとなって襲ってきます。

しかしこれがなかなか快感。
観客も気付かぬ内に“視聴者”の1人となり、劇中の視聴者と同等の緊張感、高揚感を得ることができます。

そのスリルを決して殺すことなく、色煌びやかなネオンを多用した美しい映像の中で描かれるとことん黒い、人間や現代社会に蔓延った闇の部分。
視覚と内面とが対比的に映し出されたこのミスマッチさが作品に質の高いメリハリをもたらしており非常にお見事。
最後の最後まで先の読めないハイテンポな展開に一瞬たりとも気が抜けません。

映像、脚本、音楽、演出のすべてが一級品の極上B級映画。
心だけでなく目だけでも充分楽しめます。
正直非の打ちどころが見当たりません。
エンドクレジットまで抜かりない手の込みよう。
ただの危ないことをする奴らの作品だとしたら大したことのないB級でしたが、しっかりと社会に訴えかける本質が描けている為、とても価値のある1作だと感じました。

文句無しの満点。
自分の好きなエマ・ロバーツとデイヴ・フランコではなかったとしても満点だったでしょう。
本作を観たが最後、“NERVE”というゲームの虜になること間違いなし。

今年も良き映画まみれの日々を送れそうです☺
Kevin

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