革芸之介

黒薔薇昇天の革芸之介のレビュー・感想・評価

黒薔薇昇天(1975年製作の映画)
3.9
大島渚と今村昌平をリスペクトし、芸術を志すブルーフィルムの監督役を岸田森が情熱的に怪演。

天才・神代辰巳の作品に名優(怪優?)岸田森が出演したのだから当然のごとく凄まじい映画です。

脚本も神代ですが、原作は藤本義一。それと何となく初期の野坂昭如の小説みたいな雰囲気もあります。

喜劇色が濃厚な映画なのですが私は「恋愛映画」として、とても楽しめました。

いや~岸田森と谷ナオミが凄い。もう二人とも淫獣だぁ。このパワー、情熱と汗といろいろな汁が飛び散る大熱演。

谷ナオミは岸田森に、ずっと口説かれ続けるのだが、なぜかどこでも傘をさしたまま。車の中や遊園地の乗り物の中でも傘をさしています。この「傘」が重要で、谷ナオミのアイデンティティでもあり、女として女性の貞操を守るための防御壁にもなっていると思われます。なのでどの場面で「傘を閉じるのか」ここに興味を持ちました。

そして谷ナオミと岸田森が肉体的に結ばれる時、「傘」はどうなるか。まぁ、お二人とも激しく濃く愛し合います。
革芸之介

革芸之介