傑作だった。西山真来の心情の変化を説明的なセリフや心理描写で表現しない潔さ。人物の行動と不意打ちみたいなカット繋ぎの唐突な画面展開が素晴らしい。
地方の町で複雑な血縁を持つ家族の物語は昔も今も文学で様々に描かれてきたが、本作は文学的なものに向かわず、余計な心理説明もせず徹底的に人物の行動と独特の間合いと異質な編集の画面で映画にしか描けない表現を進化させた。
私は耳が悪いので川のシーンが蝉の鳴き声や川の流れの音でセリフが聞こえにくかったのだが、その音は妙に心地よく、全体的な音響設計も独特で面白かった。