アクション面は文句なしの大傑作。
少なくとも今現在『るろうに剣心』のアクションは「日本でしか観られないアクション」に仕上がっている。
シリーズ全てを通して思うのは、「アクション映画ではお約束の動き」がほとんどないこと。
体操で見られるような「ひねりのジャンプ」や「バク転、バク中」など、身体能力の高さを一目で理解させる「お約束」の動きはない。
代わりに剣心を演じる佐藤健が見せたのは全速力を維持しながら百八十度方向転換する車のドリフト走行のような走り方である。「京都大火編」より登場した宗次郎演じる神木隆之介もまた同じ動きを見せ、今回『伝説の最期編』では寝技の応酬の如きチャンバラを披露。こんな戦いは見たことない!
伊勢谷友介演じる蒼紫の二刀流も、片方の剣を戦いの最中に投擲し、流れるような動きで回収し再び二刀流で剣心に迫る妙技をさも当然であるかのように見せてくれる。
これ見よがしに「凄いでしょこれ!」とスローモーションを多用する『キカイダーREBOOT』とは一体何だったのだろうかと思わざるを得ない……。
今回満を持して大立ち回りする志々雄の素晴らしさよ……。
単純に「振れば炎を纏う刀」がめちゃくちゃカッコいいし、藤原竜也が演じているとは思えない飛び後ろ回し蹴りなど、ラスボスに相応しい強さがアクションからも滲み出ている。
クライマックスはやや強引な展開ではあるものの、四対一の乱戦が勃発。『ザ・レイド』ですら二対一だったというのに、日本のアクション映画はそれをアッサリと越えてしまった(数で)。
他にも、キャラクターごとにアクション時の動きに癖があり(アクション監督曰く、キャストへの宿題として提案したとのこと)、ほぼ全員が刀を使っているのに全く飽きさせない。
正直ドラマ部分が足を引っ張りすぎていて「もうアクションだけ見せてくれ」と言いたくなるほど。よもや日本映画に対してこんな感想を抱くとは思いもしなかった。
これを機に、日本のアクション映画そのものが変わっていくかもしれない。それほどの力と熱量を感じたのは間違いない。
……だからドラマパートは要らないっ!