俺の知らないところでこんな映画が、というかコンテンツが一大ムーブメントを巻き起こしていたとは。
話は単純明快。
プリティーリズムのことを何も知らない一見さんとほぼ同じ立場にいる新しい主人公を配置することで、新規のファンを獲得しようという狙いが透けて見える。
また、キャラクターは多いものの映画本編はあくまで"新たなる序章"的な作りなので全キャラにしっかり見せ場があるわけではない。思わせぶりな登場しただけで、いつどこで観られるのかわからない続編へ持ち越し、という部分も多々ある。
しかし、冒頭から突如始まるプリズムショーの衝撃たるや、他のアイドル系アニメとは一線を画す出来栄え。
別にとてつもない大金がかかっているわけでもない。恐ろしいのはその演出にある。
プリズムショーは言わば、アイススケートでステージ上を滑りながら歌って踊るパフォーマンスのことだ。
ここまではいい、問題はショーの節目に突如訪れる"プリズムジャンプ"の演出だ。
フィギュアスケートのように体を回転させながらジャンプを決めたと思ったら、そこから先はクリエイターがハイになった状態で作ったとしか思えないシーンの連続。真相は是非劇場で確かめてほしい。
正直、プリティーリズムのことなど何も知らなかったので度肝を抜かれた。上手なリアクションを取ることすらできないトンデモっぷりなのに、それが延々と続くものだから脳内で処理が追いつかない。その間に話はチャッチャと進み、気づいたらまたキャラクターがプリズムジャンプをキメている。
そのまま俺を置いてきぼりにするのかと思いきや、クライマックスではそのプリズムジャンプの演出を感動的なシーンに上手いこと利用して観客の涙を誘うのだから心憎い。
そして何より、その涙で終わらせない最後の展開も良い。どうして急に全裸になるんだとか、そういう些細なことがどうでもよくなってくる。
そんなトンデモ映画に異様な説得力を持たせているのは、やはり演じている声優の力であろう。声優たちのリミッターを外した怪演のオンパレードも、この映画の底知れぬ狂気を作り上げている一因だろう。
ちなみに俺がこの映画で一番好きなのは最後の次回予告である。
狙ってやっているとしか思えないベタベタなエピソードがてんこ盛りで、はやいとこ続編が観たくて観たくてしょうがない。
採点不可能、というわけにもいかないので、とりあえず満点にしておきます。
