じぇいらふ

ラストエンペラーのじぇいらふのレビュー・感想・評価

ラストエンペラー(1987年製作の映画)
5.0
坂本龍一の追悼上映で見られるということで駆けつける。封切り時、テレビ、パッケージ他でもう何回も見てる作品ですが、やっぱり素晴らしいし、これこそ映画館の大きなスクリーンで見るべき大作、歴史ドラマですな。いうまでも無く坂本龍一他の音楽は最高です👍👍👍👍👍

🎞️メインテーマ曲とタイトル(これは坂本龍一ではなくデヴィッド・バーンの曲。これも素晴らしい!)列車が到着。大量の罪人?を護送中。メガネの痩せたコート姿の男。何人かが男に気がついて、男の前にひれ伏す。「皇帝陛下だ」~はじまり

📖1908年紫禁城。溥儀は、わずか3歳で清朝皇帝の地位につき、幼いながら皇帝としての日々を過ごしていく。しかし紫禁城の外では、近代化で政治体制も変わり皇帝の時代は終わりつつあった。清朝最後の皇帝溥儀の激動の生涯。。。というおはなし

あらためて見るととにかく美術が圧倒的に素晴らしいですよね。実際の紫禁城でロケした向こうまでびっしり人で埋まった、戴冠式シーンとか。迫力、説得力凄い。圧倒される。
中国でも清って満州族の独特な煌びやかな衣装、雰囲気が妖しくて、やっぱり日本とは違うよなあと思います。

ヴィットリオ・ストラーロの計算しつくされた色味の撮影が見事です。池での船、皇帝と乳母の❤️のシーン。見て眺めてるだけで、トリップするような世界。

そしてきらびやかな皇帝時代とは対照的な、中華人民共和国時代になっての刑務所のシーンの人民服の地味なモノクロの世界との対比が凄いね。溥儀がいかに激動の人生だったか?がそれだけでわかる。
ベルナルド・ベルトルッチという監督を知ったのもこの作品が初めてでした。大きな歴史や環境の変化に翻弄される人々を描く巨匠ですね。見事な演出ぶり。

後半の上海時代に、日本軍と絡んで満州国を作っていく過程のシーンもいいですね。
打って変わった洋装の溥儀達の逃亡中ながら優雅な生活の裏で、着々と日本軍に利用されていく世界。皇帝時代束の間の幸せな三人夫婦が無惨に壊れていく悲しさ。

坂本龍一の甘粕役かっこいいですよね。彼の役者仕事で一番いい。セリフあんまりないから良いかも笑。「アジアは我々のものだ!」のわかりやすすぎる悪役描写😆

坂本龍一の音楽がこの作品で大きく貢献してますね。あの素晴らしいメロディの数々。教授的にも今作が一番大きな転換点でしたね。それまでシンセサイザーを駆使した音楽作りが、ここからオーケストラを主体としたシンフォニックな音楽作りが増えていきます。アカデミー賞音楽賞は当時びっくりしました。ああなんか教授が遠くなってしまう感笑。その後ハリウッドでは、そんなに成功しませんでしたが、少なくともその後のベルトルッチの一連の作品は、ある意味坂本龍一の映画音楽時代の一つの頂点ですね。戦メリに並ぶ代表作といってもいいです。

これ坂本龍一ばかり有名ですが、いっしょに音楽やっていたでデヴィッド・バーンや中国のスー・ソンの音楽も良かったですよ。教授が歴史と悲劇パートで、他の二人は日常パートみたいな分け方でした。

最後、文革での紅衛兵の音楽の明るい不気味さとか、音楽で時代の変化がわかるのもこの作品の面白さ🇨🇳🇯🇵🦗