九月

ウルフ・オブ・ウォールストリートの九月のレビュー・感想・評価

4.2
ジョーダン・ベルフォートの人生の一部、見ているだけでどっと疲れた。
どれほど凄い(良い意味、悪い意味に関わらず)人の話でも、描き方によってはどうでも良かったり、栄枯盛衰を見守った挙句最後には哀れとしか思えなかったりすることも多いが、下品で最低で、主人公には同情の気持ちすら湧かないのに、このエネルギッシュな映画に圧倒されてしまった。

ビジネスや人生で成功を収めるためにコツコツ努力…とは程遠く、ハイリスクハイリターンの数々は、自分には無縁の世界に感じた。法に触れるのは良くないけれど、これくらい思い切ったことをしないと尋常ではない大きなことを成し遂げられないのかと呆然と眺めていた。

さすがに脚色かと思うシーンも多々あったが、クルーザーの沈没とかも事実みたいで言葉もない…。ドラッグの力を借り常に精神の状態をハイにして次から次へと問題を切り抜ける様子は、間違っている方向へと進み続けているようにしか見えなかった。辟易としながらも、最高に笑えるシーンも多く差し込まれ続け、ディカプリオの素晴らしい怪演も相まって面白可笑しく最後まで観られた。
二番目の奥さんのナオミとの攻防…彼女に一蹴して欲しいと思って見続けていたけれど、結婚するきっかけや夫婦をかろうじて繋ぎ止めていたのは結局金なのかと思うと虚しい。ナオミの存在とか、FBIの捜査官が地下鉄に乗っていた時の様子とか、ふと現実に立ち返るシーンがあったのが味わい深かった。
九月

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