Ren

サプライズのRenのレビュー・感想・評価

サプライズ(2011年製作の映画)
3.5
いつから僕はファニー・ザ・ハント・アローン(←元ネタ3つ分かるよね?)を観ていたのですか?詰め込まれたサービス精神という名の意味の無さ、鼻で笑っているつもりだったのにニヤニヤ楽しんでしまった。

世の中に「サプライズ」な映画などいくらでもある中で『サプライズ』なんて邦題にする図々しさ。というか何も考えて無さ。清々しい。

アニマルマスクにもクロスボウにも何の意味も無い!覆面とライフルでいい。そのほうが見た感じ面白いからそうしているだけ。お子様ランチに刺さっている旗を思い出した。
冒頭のチュートリアル代わりの女性も無意味にエロいし、そもそもこのアバンタイトル自体無くていい(笑)。ホラーといえばエロい女性が襲われるもの、という古典的な方程式へのリスペクト(?)であり、「そういう映画」としての心構えを観客に与えてくれる。前段で無意味と言ってしまった要素も、リアルとは程遠い話ですよ、と伝えるためのシグナルだろう。

大きな音でのジャンプスケアはあまり上手くなかった。そこのネジ締めがもっと的確なら作品のトーンの変化をもっと楽しめたかもしれない。
配役もあと一つ!最初「この人が主人公っぽいけど、もしかしてこの人がこうなるのか⁉︎」と勘繰ったら外した。中盤の山場に差し掛かる辺りで「なんだ、やっぱりこうか」となってからはそれをなぞるような展開に。各キャラクターのファーストインパクトの印象と実際の立ち位置のギャップにもっと工夫を!

他方、「さあどう死ぬ⁉︎」という期待をちゃんと超える大喜利が序盤と終盤の二箇所くらいあってそこは良かった。そういう瞬間が一つでもあれば儲けもんなのでこれは嬉しい。「こうやって死ぬと思ったらそうやって死ぬのかよ」と「それをそんな使い方するなよ」が一個ずつある。

ラストカットからのタイトルバックも素晴らしい。後半、完全にホラーを捨ててコメディに振り切ったからこそできる。

動機付けもテキトー、各キャラクターのモチベーションも謎で、記憶に残るような作品では多分無いが、瞬発の楽しさを与える大味ホームインベージョンスリラーとしては及第点だろうと思う。包装を少し凝ってみた量産土産まんじゅう映画。こういう映画は定期的に摂取したい。
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