子供たちにバカにされて死んだピエロが、大人になった子供たちに復讐する話。
「ゾンビーバー」「オゾンビ(オサマ・ビン=ラディンゾンビ)」に続いて鑑賞。原題自体がダジャレな二作と違い、こちら原題は、このピエロの名前である「Stitches」。
観る前はこの邦題に「どうかしてるぜ!」って気がしてたが、観終わったらかなり内容に忠実な良タイトルだと納得。
トミーの10歳の誕生日。友達らとのパーティーの最中、トミーの母親は出し物としてピエロを呼ぶ。ピエロの芸に満足できないトミーやケイトといった子供たちは、ピエロの足を結んで転倒させ、ピエロを殺してしまう。6年後の誕生日。トミーら高校生たちのパーティー会場に、墓場から復活したピエロが復讐を果たすため姿を現す。
子供→大人(高校生ですが)とピエロとの戦いというと「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」を思い出す人もいるかもしれないが、俺は未見なので、どれくらい似てるかは不明。
そもそも俺、「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」、アキラ100%主演だと思ってました(嘘)。
ピエロが復讐を始めるまで、あとで殺されるリア充たちをムカムカさせるためだけの定番パーティーシーンが続くのだが、オッパイも殆ど出ないので、ぶっちゃけ冒頭でピエロが死んじゃったら、40:00くらいまで早送りしても問題ない。
あ、前半の学校のシーンで出てくる教師の髪型が、バーコードを超越して海苔を頭にくっつけてるみたいになっている(23:00くらい)のは地味に見どころだったので、このシーンだけは観てほしい。ちなみにこの味付け海苔を頭にくっつけたみたいな教師、髪型にツッコまれることもなく、再登場することもないので、出落ち感ハンパないのだが、なんでこんな特徴的な髪型なんだろう……。
後半は南部虎弾みたいな髪型をしたピエロが大活躍。詳細はネタバレになるので避けるが、バルーン捻じりとかシャボン玉、ナイフ投げに綱渡り……と、地獄でどんだけ特訓したのよ、ってくらい芸達者になってる。最初からこれくらい出来る子だったら、子供たちに殺されることもなかったのに……。
俺のお気に入りは、自転車で逃げる主人公カップルをピエロが三輪車で追いかけるシーン。ツツツーっと猛スピードで去っていくカップルに追いつこうと、必死でキコキコと三輪車を漕ぐピエロ。ぐんぐん引き離されたピエロが、三輪車降りて一言。
「やっとられんわ!」
このシーン好きだった。
あとピエロ、走るときに微妙に欽ちゃん走りになるのは、欽ちゃんへのオマージュですか?
作品全体の感想として、はっきりいって、グロい描写以外、特徴的な見どころはないと言い切って良いと思う。
OPが60年代に活躍したバンド・ホリーズの曲だったり、めっちゃ現在の設定なのに80年代のヒット曲(カッティング・クルー)で高校生たちが盛り上がってたり(お前ら幾つだよ……)、絶妙に撮影アングルがレトロだったり、作り手の偏愛は感じられて、俺的には満足できる作品でした。
(以下、ちょっとネタバレ)
主人公たち、吊り橋効果で最後は結ばれてる。でもさ、そもそもピエロが死んだ理由作ったのお前らだし、男の子の方、女の子の家をずっと望遠鏡で覗いてたストーカーなわけですよ。こいつ、陰キャみたいなキャラ設定になってるけど、単なるキモオタストーカーのクズだと思うんだけど。あと、お前ら警察呼べや。
逆に、ピエロは、あんなに大人数のパーティーへと正面から乗り込んでいって、正確に自分を殺す原因を作った連中だけを仕留めていく。他人に迷惑をかけない! という心意気が一貫してて、とても好感が持てる。
なので、ラストシーン、木の上の小屋で乳繰り合ってるカップルで終わるのではなく、こいつらの小屋にピエロが風船つけて、「カールおじさん」みたいに大空へ飛ばして。それを見送りながらピエロが一言
「これで皆、ハッピーだよな!」(←ピエロの決め台詞)
で終わってほしかった。
そうしたら、殺されたピエロも復讐を果たすことが出来てるし、
「イジメられた方は絶対に忘れないんだから、他人をイジメてはいけません!」
って、道徳的なメッセージを、観る側に与えられたと思うんだけどなぁ。
せっかくリア充がブチ殺されまくるスラッシャームービーとして、俺みたいな陰キャが楽しめる作品なのに、表面っつらだけのハッピーエンドで終わっちゃってるのは……
それこそ、どうかしてるぜ!