SHIMABOO

インターステラーのSHIMABOOのレビュー・感想・評価

インターステラー(2014年製作の映画)
3.5
 ようやっと頭が追いついてきたので少しばかりアウトプットをば。
 
 要するにこれ、時空を超えて愛する者同士がつながって、んでその勢いで人類救っちゃうっていう…流行りのセカイ系か!?(いや、もうブームは終わってるか)冷静に考えれば後半の飛躍には、ほんとうに凄まじいものがある。ただそれでも、この映画は娘と父の普遍的な家族愛をありのまま差し出し、我々に感動を与えてくれる。それはやはり、この長尺の大半を登場人物の緻密な描写につぎ込んでいるからで、他の方も言及されているように香具師のごときノーランのストーリーテリングの力でもあるのだろう。

 その一方で、ディテールにはわりと無頓着。ノーランはその気で作ったらしいので遠慮なく比較させてもらうが、ハッキリ言って状況描写の細かさにおいては『2001年宇宙の旅』のほうが優れている。一番気になったのは、宇宙船のクルーが一切飯を食わないこと(強いて言うなら、マット・デイモンがコーヒーかなんかを飲んでいたぐらい)。したがってトイレもしない。初期の宮崎ヒロインかよアンタら!?『カリオストロの城』のクラリスと一緒じゃん。『未来少年コナン』のラナじゃん!

 他にも、「黒板に書き下せる程度の方程式なら苦労しねえよ!」というのは物理学者の言い分なので置いておくとして、砂埃にまみれた地球であんなに空の晴れる瞬間は無いでしょ。空気も綺麗そうだし。砂はどうやら風が吹かなければ堆積する程度の重さみたいだけど、現実の北京の様子とか見慣れていると「なんだそれ?」と思ってしまう。この辺は一体どういう設定なんだろう。雨が降らない世界なのに、水不足に陥ってるようには見えないのも不自然。

 映画、とくに非日常的なSFというジャンルにおいては、主人公たちがどういう生活をしているのかを示すことが作品のリアリティ(もっともらしさ、説得力)を獲得する上で非常に重要だと思うんだが、どうなんだろうか。てか、未来の宇宙船でどうやってトイレするのかとか、飯がどうなってるかとか、すげえ気になるし(俺だけ?)。ちなみに『2001年』では飯もトイレも出てきましたよ。
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