岡田拓朗

インターステラーの岡田拓朗のレビュー・感想・評価

インターステラー(2014年製作の映画)
4.4
インターステラー(Interstellar)

極めて現実的な映画(直近だと「愛がなんだ」みたいな)が好きな自分でも、興奮せざるを得ない、SFの中でも間違いなく一番好きな作品。
確か初めに鑑賞したのは、大学の頃だったけど、内容忘れていたところもあったので、このタイミングで再度鑑賞。

大学の頃に鑑賞したときよりも、内容が理解できて、改めてこの映画の凄さに感極まった。
もちろん当時も興奮したけど、あのときはまだ消化不良だったのもやっぱりあったなーと。笑

この異次元ないくつもの宇宙観をしっかり形にしているだけでも凄いのに、そこにしっかりとしたストーリーと伏線の回収、そこからくる強烈なメッセージ性、あらゆるものを上乗せしていくことで創られる感動、異次元と一次元のリンクと行き来から生まれる深み、理論や概念などの実証された論理的なものだけでなく愛などの論証され得ないであろう感情的なもの、愛こそが結局最後には大事であることの一つの答え。

まさかこんなに物凄いものが映画として普通に鑑賞することができるとは思っていなかった。
もはや映画を超えた何か特別な創造物を体感したような感じがする。唯一無二。

その中で、説明なしにあのラストを迎えることに違和感は残るものの、この作品が総じて残したかったこと、伝えたかったことにあのラストを説明することは必要なかったのかもしれない。
もやっとするし、何でハッピーエンドになったんだと思うかもしれないけど、それはそれで余韻を残す感じがあってよかった。

なんか本当に未来に起こり得そうなことであるのもキモで、SFはいかにも現実離れしていてのめり込めない印象があったけど、今作は本当にリアルにありそうで、それも入り込めた要因の一つ。
それだけ作り込まれていたからだろう。

このような科学の世界は、難しい用語ばかりで内容が難解になり、置いてけぼりになりがちだけど、万人に共通のテーマとして愛や以心伝心を上手に入れることで、理解しやすい重厚な物語に仕上がっている。
この点はアルマゲドンに似ているかも。

科学のことが全てわかった上で鑑賞したらもっとのめり込めて面白かっただろうけど、あまり詳しくなくても十分に楽しめる作品になっています。

奇跡と愛と科学が共存して、家族や仲間のよさがしっかりと出ているヒューマン要素溢れている作品。
何回も言えるけど、これを一つの作品として完成させちゃうのが本当にとてつもなく凄い!

それぞれの目指す方向や何を大事にするか、で意見が食い違っていくのも多面的なものの見方で本当に全てが正しく感じるリアルさがあり、誰もが自らの正義を持ってこの世界と対峙していたのもよかった。

実はプランAとプランBで二つにわかれて、実行されてたラストは本当に最高でエモすぎた。そうくるかと!
マシューマコノヒーとアンハサウェイね!

こういう作品を観ると、人間としての原点に立ち返ることの大切さを改めて感じさせられるし、未来に何が起こったとしても何とかなるし、未来は明るいんじゃないかとどうしても思ってしまう。希望を持ちたくなる。
それが錯覚だとしてもそう信じたくなる。

科学的根拠に基づいたロジカルさだけでなく、エモーショナルさをしっかりと表現し、人間の不変的な大事なものに立ち返らせてくれる傑作SF映画。

SF苦手な方にも、今作は本当におすすめできます!

P.S.
SFが苦手なのは演出やアクションの凄さに惹かれるけど、物語としたの深みや現実性が乏しいからなのか、ということに改めて気づけた。
でもそれはSFだからというよりも、作品によるものが大きいと感じたので、このジャンルも選り好みせずに、よさげと思ったら鑑賞しようと思えました。
色んなことに気づかせてくれたこの作品にはやっぱり感謝と特別な想いがある。(まあそうじゃないと基本的には同じ作品を二度鑑賞しない派です)
キャストもマシューマコノヒーとアンハサウェイが本当によかった。
ちゃっかり「君の名前で僕を呼んで」のティモシーシャラメが主役の息子役で出てるという!
岡田拓朗

岡田拓朗