とむ

インターステラーのとむのレビュー・感想・評価

インターステラー(2014年製作の映画)
5.0
映画の意味って何なんだろう。
映画が映画たり得る所以って、一体何なんだろう。

それは「映像」であること。
「映像」、すなわち「動く画」用いてストーリーテリングができることだと思う。


何当たり前なこと言ってんだ、と一笑されるかもしれないけど、
例えば、小説を原作にした映画の課題を考えてみる。
何が大切でしょう?

それは「小説」、すなわち「文字」を用いて表現する芸術では表現しきれなかった視覚的な感動を、
映像でしか説明できない方法で表現することではないでしょうか。


小説にしろ映像にしろ、
ストーリー性のある芸術作品には「ファンタジー」や「SF」といった分野が存在しますよね。

これらの分野には、
現実では起こり得ない様な荒唐無稽な展開や描写が描かれる作品が多いです。
そして更に言えば「SF」「ファンタジー」には、もちろん他の分野にも必要だけど、
特に疎かにしてはいけない要素が一つあります。


それは「リアリティ」。


「実際起こりえるのでは?」
「こういう事件が起きたら、
こういう世界になってもおかしくなあのでは?」

そう思わせるリアリティが、
実は特に必要なジャンルがこのSF・ファンタジーなんです。
これが欠如した作品は、途端に面白みのない作品になってしまいますよね。


それらを踏まえた上で、
今作はまさに、映画という芸術が現代に存在する意味を私たちに痛烈に突き立ててくれた。

この作品で味わえる感動を言葉だけで他人に説明したり、
小説に起こして同じエモーションを湧き起こすことなんて絶っっっ対にできないと断言できるし、
リアリティは開始15分程度でこれでもかっていうくらい感じ取ることができました。

特に世界の説明を長ったらしくするような描写はないけど、
この世界が実際にあるだろうことを確信させてくれる。


これはもうはっきり言って映像の暴力。
信じざるを得ない状況に、我々を追い込んでくる。


「あの」ラストの展開を嫌う人がいることもわかるけど、自分にとっては良い方向に作用してくれた。
これに関しては観てもらって好きか嫌いかで、この映画に対しての評価が決まると思う。
でも、映画文法、映画理論的に間違ってない表現だと思う。


近年、ここまでの作品を見ることは難しいんじゃないか?と思えるほどの大・大・大傑作。
『スタンリー・キューブリックの「2001年宇宙の旅」の正統派進化系』
という意見をよく聞くけど、そんなもん観に行かなきゃ損に決まってるんだから観てない人はすぐにでも劇場に観に行くべき。


だってノーラン先輩、当時の技術と表現力では再現できなかったことを、
正面からメンチ切って、キューブリックパイセンの亡霊がブルって引き返すまで睨み続けて、
見事にやってのけちゃったんだもの。


予告編に関しても、
ほぼどういう内容の映画なのかが伝わらない作りにあえてしていますよね。
これ、意外と成功してるんじゃないかなーと思います。
この予告編以外の前情報を全くない状態で観他方がいいのは間違いないと思います。


169分間、興奮のせいか身体中がマグニートみたいに熱くなって、
終わった後も溶岩みたいに身体中の血液がドロドロ燃えたぎってた。

生きてる間にここまでのものを見ることはできるとは思わなかった…。
クリストファー・ノーラン、ありがとう。
アンタは現代に生きる映画の神様だよ。
とむ

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