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ブルージャスミンのみかんのレビュー・感想・評価

ブルージャスミン(2013年製作の映画)
4.0
ニューヨークの資産家と結婚し、セレブとして裕福な生活を送っていた主人公ジャスミンは、結婚生活の破綻で地位も財産も全て失ってしまう。再び華やかな世界へと返り咲こうと躍起になるジャスミンの、苦悩と奮闘のコメディドラマ。

ジャスミンの愚かしさやイタさの滑稽加減と、哀愁漂う悲壮感が絶妙なバランスの見事なブラックコメディでした。

過去に固執して、自分の空っぽのプライドや虚構の面子を保つことしか考えられない人間の哀れさをおかしく描いていて、ダメダメっぷりへの呆れやドロドロした重さを含みながらも、最後まで観たいなと引き込ませてくれるケイト・ブランシェットの演技力には脱帽でした。

都合の悪いことには目を背け、自分を偽って虚構の幸せの世界に逃避。ラクな方へ流されて、行き着いた先は身の破滅。

主要な登場人物みんな散々な目に遭っている中で(みんなクセモノばかりだから自業自得ですが ´д` ;)、現実と向き合えないのはジャスミンだけ。

どこかで自分でも違和感に気づいているのに、"完璧で幸せな女"であるために、いつも嘘と見栄で塗り固めてやり過ごす。

セレブ時代の"友人たち"も、笑顔で褒めあいながら見下し合ってる腹の中がリアルでした。

作中の「ブルームーン」(世界恐慌の時にヒットした、夢も愛も失ってひとりぼっちで人生どん底、という人々の癒し・応援ソングだったそう)が効いててよかったです。特にラストが印象的でした。

大失敗して人生転落しても、言い訳や強がりばかりじゃ空回りするだけだし、孤独を強めますます悪循環に陥ってしまう。

それなら、のらくらまた笑ってちゃっかり、いい意味で厚顔無恥でしれっといくとか、たとえ一時期病んだり自暴自棄になっても、それと向き合って惨めさや屈辱に耐え、どうにか受け入れて、地道に一歩一歩歩き出すとか、とにかく虚栄心は肥大化すればするほど惨めで滑稽なんだな…と思わずにはいられませんでした。


★ニューヨークの資産家と結婚し、セレブとして裕福な暮らしをしていたジャスミンは、結婚生活が破綻したことで地位も財産も全て失ってしまった。
サンフランシスコで庶民的な生活を送る義妹のもとに身を寄せたものの、不慣れな仕事や生活に神経が擦り減っていくが、、。
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