メル

ミケランジェロ・プロジェクトのメルのレビュー・感想・評価

3.6
皆さんの評価があまり高くない様ですが、それは多分豪華なキャストのせい(?)
ジョージ・クルーニーとマット・デイモンとくれば「オーシャンズ」のイメージが強いし、そこにビル・マーレイとジョン・グッドマンが加われば…きっともっと面白いはず!という暗黙の期待があったのかもしれません。

これは第二次世界大戦も終焉を迎える頃、ナチス軍によって略奪された美術品を守るためハーバードの美術館長をトップに集められたモニュメンツ・メンという実在の人達の話。

冒頭ミラノの教会が英国軍に襲撃されてダ・ヴィンチの「最後の晩餐」の壁画が崩れそうになる場面があったが、ナチスだけではなく連合軍も戦争に勝つためには文化遺産や芸術品の事など考えていられなかったのだ。

ノルマンディーに上陸したモニュメンツ・メンが「教会は壊さないでくれ」と言った所、「冗談じゃないぜ!高い塔の上から攻撃されたらこっちは死んじまう!」と同じアメリカ軍にも全く相手にされない。
しかし素人軍人の彼らは芸術品を守るために命がけで立ち向かい、その結果500万点もの美術品を取り返したのだ。

作品の中の絵がレプリカだと分かっていても名画が炎の中で焼かれるシーンは「そんな事しちゃダメでしょ〜」と言いたくなった。

後半、岩塩坑で次々に美術品が発見される辺りからスピードが付いてきて、東からロシア軍が迫り来る中で「ヘントの祭壇画」やミケランジェロの「聖母子像」を運び出す場面は唯一緊迫感あり(笑)

印象的だったのは岩塩坑で発見された大量の金歯 !(◎_◎;)
一体それらは誰の金歯か?
考えればわかるけど大量に虐殺された人々の…。
戦争とはそうゆう事なのだろう。

全体としてはやっぱり戦争に勝ったアメリカによるアメリカのお話で、社会派のジョージ・クルーニーのカラーが色濃く出ていたと思う。

美術学校の受験に失敗したヒトラーは絵画に関しては劣等感の塊だったのかも…。
「もし、自分が死ぬ事があったら略奪した美術品を全て破壊せよ」と言い残していた。
本当に芸術を愛する者はそんな事は言わない。
権力を誇示するためだけに総統美術館を計画したのだと分かる。

大分前に横浜美術館で見たダ・ヴィンチの「白貂を抱く貴婦人」が画面に何度か出た時は興奮度MAXでした。
あの絵にもそんな過去があったのね〜と思いを馳せてしまう。

2013年にもミュンヘンのアパートの一室から1500点の絵画が発見され、ナチスがユダヤ人から略奪した物だと分かった。
ピカソやマチスの作品も有り価値としては10億ユーロだと言われている。
現在も未だ何処かにそんなナチスによって隠されたままの絵画が眠っているかも。

それにしても、歴史上の事実としてThe Monuments Menで通っている事を何故ミケランジェロ・プロジェクトなんて分かりづらい邦題にしたのか理解に苦しむ。
メル

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