Kevin

とらわれて夏のKevinのレビュー・感想・評価

とらわれて夏(2013年製作の映画)
4.3
夫に去られてから精神的に病んでしまい、外出もままならなくなった女性“アデル”(ケイト・ウィンスレット)。
彼女は1人の息子“ヘンリー”と静かに暮らしている。
そんな中、ある人物が彼女らの前に現れ...。

あまりに切なく、この上なく美しい禁断の愛の物語。

現実には滅多に起こり得ない非現実的な内容なので、上辺だけを見ればリアリティに欠けると思われるかもしれません。
しかし劇中のあらゆるシーンに細かい配慮が組み込まれており、アデルたちが彼に惹かれるのは必然だと感じるはず。
その一つ一つのシーンがアンリアルな状況に大きな説得力をもたらし、観る者の心を引きつけます。

〝父親〟という存在が欠如した家族。
そこに現れた1人の男。
彼女らの家は普通なら父親がやるはずのことができておらず、やってくれる人ももちろん居ないので手付かずのまま。
その家族の空いてしまった穴を埋めてくれる存在に寄り添わない、寄り添えないはずがない。
一般の家庭で父親というものが教える、またはやる“スポーツのやり方”、“物の直し方”、“危険な所の清掃”、“工具の名前”などどれも些細なことばかり。
だがそれを知らずに生きていくのは些細なことではなくなってしまう。
家族というものは母親がいて父親がいるのが最低限の構成。
自分もその必要性を普通の家庭で育った人より何倍もわかります。

本作での出来事は世間の目から見れば許されることではないと思いますが、本物の愛に罪も偽りも間違いもありません。
自分の心の声を疑ってしまうのは自分を殺すのと同じこと。

まさかこの作品を観て2回も泣くとは思っていませんでした。
どちらの涙も全く別のものです。

王道ラブストーリーではありませんが、この愛の物語に誰もが胸を打たれるでしょう。
ときめき、ハラハラできる極上ラブストーリーを是非ご覧下さい☺
Kevin

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