エディ

激戦 ハート・オブ・ファイトのエディのレビュー・感想・評価

4.1
借金に苦しむ元ボクシングチャンピオンと文無しになった元御曹司の御曹司という、どん底からの再起を掛ける二人の男がタッグを組んで、総合格闘技の勝ち抜き戦に挑む香港のアクション映画。このところ総合格闘技を取り上げた映画が増えているが、この作品は他の映画よりも激しい練習シーンに時間を割いているので、必死のバトルと勝利が迫真性を持っている。

また、親子の絆、住んでいる部屋の大家である母娘とのふれあいという二人の男が戦う理由も非常に明確なので、試合以外でもぐっと来るモノがあった。

20年前ボクシングの香港チャンピオンに二度輝いたファイは、八百長に手を染め転落、服役後は借金取に負われる日々を過ごしていたが、旧友が勤めるジムに拾ってもらった。そこで世話をしてもらった部屋に住み、トレーナーをしながら日々を過ごすうちに部屋の大家である精神を病んだ母と娘シウタンと仲良くなる。
そんなある日、ジムで練習をしていたチーから総合格闘技MMAのチャンピオンシリーズに出て優勝したいのでトレーナーになってほしいと持ちかけられる。チーは、大富豪の御曹司だったのだが、父が不動産投資に失敗してチーも文無しになってしまったので、優勝賞金で再起を図ろうとしていたのだ。
そんな二人が、総合格闘技のトップを目指して過酷な練習を始めることになった。。。

総合格闘技の映画としては、最近では「ウォーリアーズ」があるが、この映画のほうがはるかにリアリティを感じると思う。それは、二人が戦う目的がはっきりしているのと、二人の練習光景が過酷過ぎるからだ。「ウォリアーズ」は練習風景をろくに描かないで試合で奇跡的に勝ち続けるので、いまいちリアリティを感じないが、この映画は試合より練習シーンの方が長いし、観ているだけで辛くなるような激しい練習なので、「これだったら頂点を狙っても良い」と思える。

また、この映画の良いところは、格闘技以外のハートウォーミングなシーンを丁寧に描いていることだ。決してお涙頂戴ではないが、心が荒んだ男がこの人たちのためならもう一度頑張るかと思えるくらいに素敵なシーンが描かれている。

特に、ファイとシウタンが実の親子のような関係になっていくのは感動的だった。シウタン演じた子は見事な演技だ。

と、こんな感じでとても魅力的な映画だが、難を挙げると少々荒削りで判りにくいシーンが散見されることだ。特に冒頭10分近くは何がどうなっているのか良く判らなかった。

荒削りだけどグイグイと魅せてしまうだけの力強さがある。チーが負けた後の斜め上を行く展開にも良い意味でびっくりしたので、個人的にはかなり気に入った。
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