かすとり体力

邪願霊のかすとり体力のレビュー・感想・評価

邪願霊(1988年製作の映画)
3.5
「現在にまで続くJホラー表現の先駆け」的作品として、(まさかのアマプラで発見につき)お勉強的に観賞。

基礎情報。
1988年作。モキュメンタリーホラーの走り。
脚本・小中千昭氏。当作品における、小中氏の「映画的工夫によって、いかにして人(役者)を人ならざるものとして見せるか」という挑戦が後に体系化され、「小中理論」としてJホラー界に敷衍。当理論に基づき様々な取組みが試行錯誤され、それが脚本家・高橋洋氏のもと、1998年「リング」に結実。以上。

50分程度の作品につきサクッと見れました。
上述のとおり、「いかに役者から人間性を剥ぎ取るか」という様々な工夫が凝らされているのが分かる。

こういったエポックメイキングな作品って、後で見るとその革新性故にフォロワーにこすられまくってるので、得てして陳腐に見えてしまうことも多いが、本作、88年作品かつモキュメンタリー風撮影から来る「映像のザラザラ感」から、余計にその怖さを増しているところがあった。
(カメラにふいに映りこんだ存在の怖さ、とかは今見ても十分ぞっとした)

最後ははちゃめちゃ展開を見せるが、そこら辺は普通に楽しくて良し。

私がべた褒めする「ノロイ」を始めとする白石晃士監督作品に小中理論の文法が脈々と受け継がれているのを感じられただけでも、見た甲斐があったと思う。(ホラー作品を取り上げる度に毎度毎度「ノロイ」を例に出して、そろそろしつこいでしょうか)
かすとり体力

かすとり体力