KANA

コーヒーをめぐる冒険のKANAのレビュー・感想・評価

コーヒーをめぐる冒険(2012年製作の映画)
3.8
ジャームッシュの再来といわれるドイツの新鋭監督ヤン・オーレ・ゲルスターによる初作品。
なんなんだろう?この自分にしっくりくる感覚!フランスでなく、ドイツ、そして60年代でなく現代の作品なのに、ヌーヴェルヴァーグの匂いプンプンなんだよね〜。

内容はといえば、朝、コーヒーを飲み損ねたことから始まる1人の青年のついてない1日をスタイリッシュな映像で描いてるだけ。
端整なルックスでありながら、どこか頼りなげな主人公ニコのモラトリアム。邦題が春樹さんの『羊をめぐる冒険』と似てるのは狙いなのか…?一連の春樹作品の等身大の主人公「僕」とすごくダブる。
会話のやりとりとか、トリュフォーの“ドワネルもの”のジャン=ピエール・レオ像そのものだし、オープニングはゴダールの『勝手にしやがれ』を彷彿とさせるし。
ん〜うまく言えないけど、好きなんだよね、。

その日会う人たちは濃いキャラの持ち主ばかり。戸惑って曖昧なリアクションしかできないニコ…なんだか私自身にも当てはまってすごく感情移入した。
それにモノクロで見る現代ベルリンの素敵さにハッと目を奪われた。まるでパリみたい。
あと、さりげなくかかってるBGMのjazzが小粋さに拍車をかけてる。これがまた『死刑台のエレベーター』に流れるマイルス・デイヴィスばりにカッコいい。
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