めしいらず

冬冬の夏休みのめしいらずのレビュー・感想・評価

冬冬の夏休み(1984年製作の映画)
2.8
病気で入院している母から離れて田舎の祖父の家で過ごす兄妹の夏休みがドキュメンタリー調で描かれている。きっかけ一つですぐに打ち解け合う兄と地元の子ら。亀の災難。時に牛の糞が流れる川遊び。親しい友を見つけた兄。引っ付いていつも邪険にされている妹の仕返し。窮地を救ってくれた白痴の女に妹は勝手に思い入れる。変化する母の病状。叔父が引き起こす様々なトラブル。沈滞した家の中の雰囲気を子どもは敏感に察知する。ちょっとしたスパイスがありつつも概ねどうと言うこともない当たり前の日常。そこに私たちそれぞれにある郷愁をいつしか重ねている。親元に帰る日の名残惜しさを思い出させるラストシーンがとても美しい。
ハルストレムの初期作品とも相通じるお話だった。冒頭の卒業式の「仰げば尊し」とエンドロールの「赤とんぼ」は日本占領時代の名残だと思うけれど、あるいは日本贔屓のホウ監督の演出なのだろうか。
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