饂飩粉

イコライザーの饂飩粉のレビュー・感想・評価

イコライザー(2014年製作の映画)
4.5
 デンゼル・ワシントンが、同時期に公開された『ヘラクレス』のロック様よりも圧倒的に強い男を演じているのが本作。
 とにかく強い。誰も勝てないどころか、劇中の敵キャラはデンゼル・ワシントンを追い詰めることすらできていない。卑怯な手段を使ってもアッサリ裏をかかれる。
 いわゆるジャンルとしては「大人しそうでナメられ体質っぽい男が実は最強だった」系ムービーなわけだが、他の作品と『イコライザー』には決定的な違いがある。
 それは他の映画なら主人公の強さを徹底的なアクションをモリモリ詰め込んで描くのだが『イコライザー』ではそれが最初だけしかない。
 後はもう、主人公が「コイツ殺す(倒す)」と決めた次のカットでは何もかもが終わっている……という「あえて描かない」手法で主人公の強さを表現している。
 アクション映画的には物足りないと思われるかもしれないが、この演出がとにかく痛快。昼間に働いているホームセンターに強盗がやってきて、後でこらしめようと思った主人公はホームセンターで売っているハンマーを拝借→次のシーンではちゃんと返り血を洗って元あった場所に戻している。何があったのかは知らないが、とにかく片が付いた。表情一つ変えないデンゼル・ワシントンの仕事の速さはまさに最強。
 予告編で異常にプッシュしている「19秒で~」など過小評価も甚だしい。観客からすれば体感時間は2秒くらい。2秒で世の不正は完全末梢されている。
 それでいて、敵側もあまり噛ませ犬感がないのも凄い。資金源である水商売の元締をツブされたロシアンマフィアから放たれる刺客(なんかハゲてないケヴィン・スペイシーみたいな奴)が、主人公に迫っていく過程はとても緊迫感に満ちている。
 そして自分が怪しまれていると知りながら、あえて諸悪の根源を断とうとコンスタントに必殺仕事をこなしていくデンゼル・ワシントン。やはり最強。
 クライマックスは主人公が圧倒的不利な状況で始まったはずが、いつの間にかデンゼルプレデターVS哀れにも巻き込まれた人達みたいな構図になっていて、やはりデンゼル・ワシントンは最強なのであった。
 いちいち敵がやられる瞬間に「お前、何者だ……?」と呟くお約束も、相手であるデンゼル・ワシントンがあまりにも最強すぎる故につい聞きたくなってしまうのであろう。それに対する答えは、ちゃんとクライマックスに用意されている。
 とにかくデンゼル・ワシントンが最強なので、最強のオヤジが好きな人は必見の最強映画。この最強ブームはスティーブン・セガールが一番(ネタ的にも)しっくりきていると思ったが、ここで文字通りのダークホースが現れた。
 その名も、デンゼル・ワシントン。イコライザー。最強。
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