えむえすぷらす

トランスフォーマー/ロストエイジのえむえすぷらすのレビュー・感想・評価

3.7
要素として時事批評性を持たせようとはしていますが、そのためのディティールは特にこだわっておらず、画の力で話の推進力を得ているという映画と言えばいいでしょうか。
・グローバリズムの中で人の為の発明を唱えるジョブズみたいな人(ウォズもいるよ!)
・「テロ対策」の一言で、人の権利、幸福を破壊して良いと考えるような人
・銃の扱いがうまく家族愛の固まりのラトレル兵曹みたいな人

ホワイトハウスは何故か「首席補佐官」(字幕版)が弱々しく出てくる。大統領補佐官って結構な権力者なので、CIAのような非力な組織だと罵倒しまくりだと思うんですが、このあたりは20世紀冷戦時代のCIA万能感に基づく演出でしょうか。
(WHの人たちがCIAに対する言葉は「こちらの要求したデータあるだろうが、税金泥棒(または役立たず)」といった感じらしいのはワイリー「CIA秘録」を読むと分かる所。9.11以後でもCIA上部に位置する組織が増えており、弱体化している)

ともかく映像による話の推進力は強烈。どれくらいかというとイェーガー親子の喧嘩が話を止めるので早く終わって話進めたらどうかと思うぐらい。ただ論理的なつながりは弱く、場当たり的にイェーガー親子と娘の彼氏のシェーンの活躍(やそこで必要かと思うようなかっこわるいコミカル演出)が入りますが、首尾一貫していない。これは他の登場人物も同様。(トランスフォーマーたちも含む)

エンドロールで声優欄にケン・ワタナベの名前があって「えっ」となったのですが、TL上に流れてきたツイートでも「渡辺謙さんの英語、凄くよくなっている」というのは納得。あちらの俳優かと思ってました。

最後のシーンはそれぞれが活躍していて、そこは良かったと思います。その丁寧さが全編になればもっといいのにというあたりは監督の持ち味ですかね。これでそれなりに見せるスキルは大変なものだと思います。